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H3ロケット3号機、打ち上げ成功

"日本の新たな大型主力ロケット「H3」の3号機が、7月1日午後0時6分頃、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられました。ロケットは予定通りの軌道に投入され、搭載していた政府の地球観測衛星「だいち4号」の分離にも成功しました。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると、全長約57メートルの3号機は、第1段、第2段エンジンを順次着火させながら上昇し、発射から約16分後に目標の高度613キロメートル付近に到達しました。
H3ロケットは、今年度に退役予定のH2Aロケットの後継機として、JAXAと三菱重工業が共同開発しました。今後20年ほど日本の宇宙輸送の中核を担う基幹ロケットとして期待されています。打ち上げ可能な重量はH2Aの約1.3倍で、様々な大きさの衛星に対応できます。
今回軌道投入に成功した「だいち4号」は、現在稼働中の「だいち2号」の後継機です。特徴は、合成開口レーダー(SAR)を用いた観測方式で、夜間や悪天候時でも地上を撮像できます。観測幅が従来の50kmから200kmに拡大され、関東平野全体を一度に観測できるようになりました。
「だいち4号」の主なミッションは、災害発生時の迅速な状況把握、高精度な地殻・地盤変動の検出、そして海洋状況の把握です。特に災害時には、広範囲の被災状況を一目で確認できるようになり、防災・減災に大きく貢献すると期待されています。
H3ロケットは今後も、日本版GPSと呼ばれる準天頂衛星「みちびき」の打ち上げや、月極域の水資源を探る探査車の打ち上げなど、日本の重要な科学ミッションや安全保障に関わる衛星の打ち上げを担う予定です。今回の成功により、日本の宇宙開発は新たな段階に入ったと言えるでしょう。"