生成AIを悪用してウイルス作成の疑いで逮捕 初の摘発
" インターネット上で公開されている対話型生成AI(人工知能)を悪用してコンピューターウイルスを作成したとして、警視庁は27日、川崎市の無職の男(25)を不正指令電磁的記録作成容疑で逮捕しました。複数の対話型生成AIに指示を出してウイルスの設計情報を回答させ、組み合わせて作成したとされています。生成AIを使ったウイルス作成の摘発は全国初とみられます。
捜査関係者によると、男は昨年3月、自宅のパソコンやスマートフォンを使い、対話型生成AIを通じて入手した不正プログラムの設計情報を組み合わせてウイルスを作成した疑いがあります。作成されたウイルスは、攻撃対象のデータを暗号化したり、暗号資産を要求したりする機能を持っていました。
男は調べに対し、容疑を認め、「ランサムウェア(身代金要求型ウイルス)で金を稼ぎたかった。AIに聞けば何でもできると思った」と供述しているとのことです。このウイルスによる被害は確認されていません。
警視庁によると、男は元工場作業員で、IT会社への勤務歴やIT技術を学んだ経歴はないといいます。コンピューターに関する深い知識がない中で、生成AIの悪用に目を付けたとみられています。
悪用されたのは、作成者が不明な状態でインターネット上に公開されていた複数の対話型AIだったとみられ、警視庁は男が自分のスマートフォンやパソコンから対話型AIに質問を繰り返し、ウイルスを作成したとみて、事件の全容解明を急いでいます。
生成AIとセキュリティーに詳しい専門家らは、「生成AIの負の側面が如実に表れたケースだ。残念だが、様々な人たちが予想していた事件が起きた」と述べ、AIを巡る法規制の議論の遅れを指摘しています。"