ノーボーダー・ニューズ/記事サムネイル

2100億円投じたマイナ情報照会、4割の手続きで利用ゼロ

"行政機関がマイナンバーを使って個人情報をやりとりする「情報照会」について、会計検査院が2022年度の利用状況を分析したところ、調査対象の1258種類の事務手続きのうち、38.5%にあたる485種類で利用実績がなかったことが判明しました。
 情報照会は、個人の納税情報などマイナンバーに紐付けされた情報をオンラインでやりとりし、行政の効率化や住民の利便性向上を図る仕組みです。政府は2014年度から2022年度までの9年間で、全国的なネットワークシステムの整備・運用と自治体システムの改修に総額約2100億円を投じてきました。
 しかし、検査院の報告書によると、情報照会を一度も利用していない手続きが4割近くに上ったほか、利用したのが調査対象団体の1割未満にとどまる手続きも多数あったとのことです。この結果、住民は本来不要なはずの書類の提出を求められるなど、負担が生じている恐れがあります。
 検査院は、デジタル庁や総務省など関係府省庁に対し、情報照会の活用を主導するよう求めました。デジタル庁は、国民の利便性向上のためにも情報連携の推進が重要だと認識しており、事務手続きを所管する省庁へのデータ提供などを進めていく方針です。
 マイナンバー制度の混乱の一端が浮き彫りになった形ですが、多額の予算を投じて整備された情報照会の活用が進むことが期待されます。"