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はしか世界的流行、ワクチン接種の重要性再確認

"はしかの世界的な流行が深刻化しています。世界保健機関(WHO)と疾病予防管理センター(CDC)によると、2022年のはしか患者数は前年比18%増の約900万人、死亡者数は43%増の約13万6000人に上り、はしかのアウトブレイクが発生した国は37カ国に及びます。これは、新型コロナウイルス感染症による公衆衛生対策の影響でワクチン接種率が低下したことが主な原因と指摘されています。特にヨーロッパでは、ワクチン接種の減少が顕著で、日本でも海外からの輸入症例を契機に国内感染事例が報告されています。

はしかは非常に感染力が強く、免疫を持たない人が感染するとほぼ100%の確率で発症します。感染後約10日で発熱や咳、鼻水などの症状が現れ、その後高熱と発疹が出現します。重症化すると肺炎や脳炎を引き起こすこともありますが、はしかワクチンの2回接種により予防が可能です。しかし、2022年には全世界で2200万人近くが1回目の接種を受けられず、1100万人が2回目の接種を受けていないという状況が報告されています。

日本では、はしかの流行を防ぐために人口の95%以上がワクチンを2回接種することが望ましいとされていますが、新型コロナウイルスの流行により、ワクチン接種が後回しになっている現状があります。このようにワクチン接種率の低下は、はしかの流行拡大に直結しており、集団免疫の獲得が困難になっています。

WHOやCDCは、はしかによる死亡リスクが最も高い低所得国でのワクチン接種率が66%にとどまっていることから、国際社会による支援体制の拡充を求めています。また、はしかの流行が国際的に広がっている現状を受け、日本国内においてもはしかワクチンの接種を検討することが推奨されています。海外への渡航を予定している人は、出国前にワクチン接種の有無を確認し、必要に応じて接種を受けることが重要です。

このように、はしかはワクチンによって予防可能な疾患でありながら、ワクチン接種率の低下によって再び流行の兆しを見せています。公衆衛生の観点からも、はしかワクチンの接種率を向上させることが急務で"