ノーボーダー・ニューズ/記事サムネイル

オバマに手を出すな! ケニアからエチオピアのAUアフリカ連合本部へ (平田伊都子)

「彼らが犯した過ちは私が犯した過ちと大きな違いはない」と、アフリカ・アメリカ・オバマ大統領は、またまた泣かせる言葉を発しました。 時は2015年7月16日、所はオクラホマ州エルリーノの連邦刑務所、<私が犯した過ち>とは、オバマ少年がコカインや大麻にはまっていた<過去の過ち>のことです。 オバマ大統領は6人の薬物犯罪受刑者と話をした後、オバマを追っていた記者団にこう語ったのですが、オバマの視線と声は鉄格子で隔てられた人々に向けられていました。 そして、「社会は立ち直る機会を与えるべきだ」と、刑罰緩和などを含む司法制度改革を約束しました。 さらに、アフリカ・アメリカ・オバマ大統領は、受刑者の数が増えすぎて独房のなかに2,3人を押し込むという過剰収容も問題にしました。 でも、ラストコロニー西サハラのモロッコ刑務所では、狭い房の中に10数人以上が重なり合っているんですよ、オバマさん!

 

 

*オバマのレガシー(遺産)、アメリカのテロ

 2015年7月20日、アメリカの空にキューバ国旗が誇らしく翻り、アメリカとキューバの正式国交回復を祝福し、アフリカ・アメリカ・オバマ大統領の輝かしいレガシー(遺産)がまたひとつ増えた。 故ケネデイー大統領がキューバとの国交を断絶した1961年から44年、キューバに対する差別と経済制裁というアメリカの<負の遺産>がやっと崩壊したのだ。 が、このレジェンデ(伝説)大統領ケネデイーのベトナム戦争という<負の遺産>は、今も残ったままだ。

 

 歴史的なオバマ・レガシー(遺産)は、人質解放新政策、同性婚の容認、イラン核問題合意、、と、どんどん積み上がってきた。 その積木をだるま落としのように叩きはずそうと、アメリカの極右団体が行動し始めた。 KKKは、その一つだ。 KKKは<クー・クラックス・クラン>の略で、悪名高い白人至上主義秘密結社だ。KKKは、南北戦争終結後の1865年12月24日に南部連合の奴隷商人であり退役軍人であった、ネイサン・ベッドフォード・フォレストによってテネシー州プラスキで設立された秘密結社に端を発していると言われている。 KKKの残酷な黒人リンチは、過激派組織ISの比ではない。

 

 2015年7月20日、そのKKKが黒人奴隷制度を象徴するアメリカ南北戦争時の南軍連合旗を掲げ黒シャツ姿で、サウスカロライナ州議会に脅しをかけた。 「南軍連合旗は、黒人奴隷制度に反対した北軍に反対して戦ったアメリカ白人南軍の象徴だ。そのレガシー(遺産)である南軍連合旗は100年以上もこの州議会前に掲揚されてきた。旗を引き摺り下ろすのはアメリカの歴史を地に堕すに等しい」と、KKK団員が息巻いた。

 6月19日、サウスカロライナ州チャールストンの教会で9人の信者を射殺した犯人が、南軍連合旗を掲げ黒人憎悪を叫んだことを杞憂したサウスカロライナ州政府が、7月11 日に南軍連合旗を降ろした。 南軍連合旗撤去に反対するKKKの登場は、他の白人極右団体を刺激し、アンチ・アフリカ・アメリカ・オバマ大統領の動きに火がつきそうだ。

 

*<アル・シャバーブ> と<ボコハラム>

 2013年9月、過激派組織アル・シャバーブがケニア・ナイロビの大型ショッピングモールで買い物客を人質に取って立てこもり、67人を殺した。 その後閉鎖されていた施設の営業が、アフリカ・アメリカ・オバマ大統領のケニア帰郷を祝して、7月18日に再開された。 ケニアでは4月にも<アル・シャバーブ>が東部ガリッサの大学のキャンパスで銃を乱射し、学生など148人を殺害した。 <アル・シャバーブ>掃討作戦は捗らず、ケニヤッタ大統領は、7月24~26日の経済フォーラム出席を兼ねて父の故郷ケニアを訪れるアメリカのオバマ大統領に、テロ対策について相談するそうだ。

 アフリカ・アメリカ・オバマ大統領のアフリカ訪問が公表された後の7月10日、

ケニヤの北にあるソマリアで、ウェヒリアとシヤードという名の外国人用ホテル2軒とAUアフリカ連合軍司令部がアル・シャバーブに襲撃され、宿泊客数人が殺された。 ソマリアにはアル・シャバーブの本拠がある。 ソマリアとケニヤは、海底油田を有する領海を巡って紛争中で、ソマリアはICJ国際司法裁判所に上訴している。

ナイジェリアのダマトゥルでは、7月17日のラマダン明けを祝う祭りで10才の少女を含む女二人が自爆テロをやり、少なくとも9人が犠牲になった。 7月16日にはナイジェリア北東部ゴンベの市場でも自爆テロがあり、少なくとも49人が犠牲になった。 ボコハラムが仕切るテロを抑えれないナイジェリア新大統領ブハリは、オバマのアフリカ訪問を待ちきれず、ワシントンまでテロ相談に出かけるそうだ。

 アル・シャバーブもボコハラムも、オバマを狙う<過激派組織IS>の子分だ。

<アル・シャバーブ>はアラビア語で、<若者>を意味する。

<ボコハラム>の<ボコ>はハウサ語で<西洋式の非イスラム教育>を意味し、<ハラム>とはアラビア語で<罪>のことを指す。

 

*そしてまた、、日本人の人質だって?!

 ええ~!また!!日本人ジャーナリスト安田純平氏(41)が行方不明らしい。

 7月17日のCNN電子版も、「一か月近く消息がない安田氏はイスラム過激派ISによって身柄を拘束されたのでは?」と、推測している。 7月10日には岸田外務大臣が、「少なくとも今現在邦人が拘束されたという情報には接してはおりません。」と、フジテレビとテレビ東京の質問に答えた。 この頃の政府は、安保関連法案を強行採決から国民の目を逸らすため、国立競技場の計画白紙という切り札を何時いかに切るかという判断に迫られていた。 そして、とりあえずこの人質事件は、次のカードとして脇に伏せていたようだ。

多分、イスラム過激派から身代金の請求書が届いているのかもしれない。 アフリカ・アメリカ・オバマ大統領が「身の代金の支払い」にOKを出していたから、日本政府も身代金支払いに応ぜざるをえなくなっているはずだ。 もしかしたらイスラム過激派はいち早く国立競技場予算の削減を察知していて、2520億円最終予算案―1300億円最初の予算案=1220億円を請求してきたのかも?、、その差額でさっさと身代金を払って、人質を解放してもらうのがいい。 この手の事件はさっさと解決するのが一番だ。 長引くと、ほんとに傍迷惑で、うざったいことになる!

 

さて、オバマのケニア帰郷とエチオピア公式訪問とエチオピアにあるAUアフリカ連合訪問は、6月19日にホワイトハウスが発表して以来、それ以上の情報が伝わってこない。

駐ケニアアメリカ大使館も駐エチオピア・アメリカ大使館も、AUアフリカ連合も、一様に「アフリカ・アメリカ・オバマ大統領が7月末、アフリカにくる」という情報しか流していない。 オバマのAU本部訪問に大きな期待を寄せているラストコロニー西サハラのAU大使は「まだ難民キャンプにいるよ、断食月明けの祭だ」と、呑気なメールを送ってきた。 どうも、オバマ大統領のアフリカ訪問に関して、箝口令を敷いたようだ。

 

確かに、アル・シャバーブやボコハラムや過激派組織ISがアフリカ・アメリカ・オバマ大統領を狙っています。 オバマを人質に取ったら、超歴史的大事件になります。 しかし、オバマはあんたたちの敵ではありません! オバマの敵は身内にいるのです。 身内の白人アメリカ人の中に、オバマの仇敵が巣食っているのです。

あんたたちの、そして私たちの真の敵も、その中にいるのでは??

 

文:平田伊都子 ジャーナリスト、 写真構成:川名生十 カメラマン