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日本語のオリジナル・ミュージカルで国際交流 インドネシアの学生劇団en塾の試み【後編】

 2014年に初の日本公演を行った、インドネシアの大学生劇団en塾。2015年4月3日(金)熊本で、7日(火)福岡の公演を前に、2014年公演を振り返る。前編はこちらからお読みください。

http://op-ed.jp/archives/31977/

 

 

 

 en塾の2014年の日本公演にあたり、日本側サポートチームをコーディネートしたのが、俳優と舞台スタッフのマネジメントおよび舞台・映像制作を行っている(有)パレナージュだ。取締役の小山ゆうな氏は「甲斐切氏との会話の中で、せっかく公演をするなら、ただ上演して終わりにするのではなく、日本のプロの技術スタッフと交流したらいいのではないかということになりました」と語る。公演前にはスタッフを連れてインドネシアに渡って、上演のための打ち合わせを行い、また、それまで学生達が自己流でやっていた照明や音響や衣裳などについても専門的なアドバイスをした。学生達が日本に到着してからは、スタッフと学生達が一緒に美術を組み立てたり、劇場に合わせて調整したり、小道具・大道具を新たに作ったりといった共同作業も行われた。

 

 小山氏は、学生と日本スタッフが演劇作りを通してコミュニケーションを取り、一つの舞台に向けて力を合わせるさまを見ながら、日本語学習と国際交流における演劇の役割に、手応えを感じたという。

「日本公演の準備と本番を通じて、彼らの日本語は上達しました。勿論、来日できたということも大きいでしょうが、スタッフとのやり取りはすべて日本語ですし、例えば“教えてもらってお礼を言う時には高い場所からは言わない”といった細かいことも含め、日本文化に触れることができたのだと思います。スタッフに教わる際の学生達のきらきらした目や飲み込みの早さ、ハードなスケジュールの中で公演を乗り切る情熱も、印象的でしたね」。

 

 en塾の創設以来のメンバーであり、2011年に卒団し、演出助手として日本公演に参加したアリオ・アフダ氏はこう振り返る。

「2014年の公演は、夢だった日本でのパフォーマンスが実現できただけでなく、アマチュアの僕達がプロのスタッフの方と作業をすることができたという意味でも、楽しく思い出深い、最高の体験でした。日本語の上達は勿論、日本の倫理、規律、働き方、几帳面さ、プレッシャーとの闘いなど、沢山のことを学びました。日本人スタッフとの会話は日本語でなければならなかったので、自ずと拙い日本語を使うことになりました。恥ずかしかったけれど、おかげで少しずつ話せるようになっていきました」。

 

 今年の熊本公演・福岡公演は、2014年の公演を踏襲しながら、en塾の生徒およびOB・OGと、日本側サポートチームとで行われる。演目は2013年初演の『Back to The 戦国!』。主演は前述のアフダ氏だ。2013年の本作初演の際には、当初主役に決まっていた団員が出演できなくなったことから、急遽代役を務め上げた。

「日本の観客の皆さんに知ってほしいのは、インドネシアにはen塾を含め、日本を愛する人々がいること。ミュージカルを通して、お互いの関係と友情が深まる事を願っています」と、アフダ氏は言う。

 

 en塾の目標は、日本公演を毎年桜の時期に行うこと。
桜前線のごとく、2015年に九州、2016年に中四国、
2017年に近畿、2018年に中部、
2019年に関東、2020年に東北と、上っていきたいのだという。演劇に打ち込む彼らの情熱が、インドネシアと日本に、友好の桜を咲かせていく。

 

【公演情報】

熊本公演: 2015年 4月3日(金) 18:30 市民会館 崇城大学ホール

問合せ:劇団en塾熊本公演実行委員会

TEL:096-382-9223

Mail:studylifekumamoto@abox3.so-net.ne.jp

 

福岡公演:2015年 4月7日(火)18:30 ももち文化センター 大ホール

問合せ:劇団en塾福岡公演実行委員会

TEL:092-534-6153

Mail:fukuoka@enjukuindonesia.com

 

【en塾について】

http://www.enjukuindonesia.com

http://enjuku-japan.com

http://jccindonesia.com/enjuku.htm

 

 

 

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2014年公演『吾輩はニャンコである』より

 

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日本人舞台監督による舞台技術ワークショップ

 

 

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生徒と日本側スタッフとの共同作業