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中国経済事情(2) 台湾ビジネスマンの中国進出の極意。党幹部をたらし込め。

 前回は中国ビジネスについてニッチな業種での進出を中心に述べましたが、具体的にどのように進出すればよいのか。現地に知人もいないとか、資金面でも不安だとか、どのように手続きをすればよいのか―など現実問題として、さまざまな問題を解決しなければなりません。

 その際、前回紹介した日本商工会議所の中国ビジネス研究会の会員となり、中国進出を協力してもらうのが手っ取り早いですが、現地の政府や企業との交渉も全面的にお任せするというわけにはいきません。

 そこで、頼り甲斐になるのが、同じ“中国人”である台湾人や香港人です。まず、言葉の心配がいらないのは言うまでもありません。

 中国本土の現地の情報に詳しいことは請け合いです。かつて台湾と大陸はまるで敵同士でしたが、いまや中国側が「台湾同胞」と呼んで、経済進出を歓迎しています。

台北101ビル(台北市の101ビル)

 

 それに、双方に親類がいて、交流も活発になっています。中国の最高指導者である習近平・中国国家主席の奥さんで、美人妻で有名な彭麗媛(ほう・れいえん)さんの弟も台湾に住んでいて、習国家主席が北京で会見したというほどです。

 私が台北で会った「財団法人 台日経済貿易発展基金会」の幹部は「大陸の法律などが複雑すぎて、日本人や日本企業が単独で大陸に進出するのはかなり難しいだろう。その点、台湾のビジネスマンと協力して、大陸に行けば、お互いにメリットがあるのは間違いない」と話しています。

 この基金会は日本と台湾の企業間、経済界の橋渡し役を目的として設立された台湾当局の公的組織ですので、台湾に出たい日本企業はもちろん、中国進出を考えている企業も、相談するのに好都合です。

 とくに、台湾の場合、60歳代以上は日本語が話すことができる方が多く、台湾人は全体的に日本に好意的ですので、台湾側のビジネスマンとの交流はお勧めです。

 

 私が台湾で知遇を得た黄茂雄・東元集団会長(写真上)も日本語が堪能な経済人で、日本の経済団体連合会(経団連)に相当する中華民国工商協進会の栄誉(名誉)理事長を務めている第一線の経営者だ。日本の大手ハンバーガー・チェーン店と提携するなど対日ビジネスも手がけています。こういうマッチングも同基金会が斡旋するので、利用しない手はないでしょう。

 それは、ともかく黄会長に中国ビジネスの注意点を聞いてみたら、次のような答えでした。

「中国大陸では法律がしょっちゅう変わるのでしっかりとチェックしておかないと、要注意。下手をすると、法律の変更を知らないばかりに、経済犯罪を犯してしまうことにもなりかねない。それと、大陸で最も気をつけることは税金の支払い。税金の滞納は即逮捕につながることが多い。

 これも法律の変更につながるが、このような重要なことについては、日ごろから進出先の地元の党幹部との関係をよくして、何かあれば、すぐに教えてもらえるような関係にしておくこと。そのために、日ごろから食事をしたり、自宅に招いたり、密な関係を保つことですね」

 黄会長はこのように述べて、「党幹部をたらし込むことが重要だ」と力説。「できれば、幹部といっても、役職の高い発言力が強い幹部とお近づきになっておいた方がよい」と強調しています。

 黄会長のような経験豊富なビジネスマンとともに、大陸でビジネスを展開することができれば、まさに鬼に金棒です。

 

【財団法人 台日経済貿易発展基金会】

電 話:886-2-2723―2855

ファックス:886-2-2723-2315

 

(相馬勝/文と写真提供)