中国株の大ブレークはあるか!?
中国では上海証券取引所で、数日前、株価がかなり落ち込んだが、いまは大分戻しているようだ。
上海総合株価指数は12月下旬には、春先まで低迷していた2000ポイントから1000以上も上昇の3000ポイントを前後していたものの、新らしい年に入って、一時的な落ち込みも何のその、すでに3300ポイントに入っている。
このため、香港の日系証券会社のストラテジストは「2015年は中国株がブレークするのは間違いない」と興奮気味に話している。
実際、昨年11月21日に中央銀行の中国人民銀行が2年4カ月ぶりに利下げを決定してから、中国の株式市場の上昇が止まらないからだ。
「この調子でいけば、10年ほど前の中国の株式バブルの再来は確実です」とストラテジスト氏は声高に語る。
ここで言う株価とは中国の「A株」で、上海や深圳の株式市場に上場している中国企業の株式を指す。外国人が中国内で買うのは難しいが、A株のなかでも、香港株式市場に上場している企業もあり、これは「H株」と総称される。香港や日本でも証券会社を通せば、簡単に買うことができる。
年末に香港に行った際、現地紙やテレビの株式番組では、盛んに中国企業の業績の好調さを強調していた。それを裏付けるように、中国財政部が12月下旬に発表した14年1月から11月の国有企業運営統計データによると、国有企業の営業収入は前年同期比3.9%増加の43兆4099億元(約840兆円)と好調だ。
中国株の上昇は堅いとみたのか、中国の証券大手・海通証券はH株第三者割当増資で機関投資家7社と契約し、299億4300万香港ドル(約5839億円)を調達したほどだ。
中国株の上昇の理由は、いろいろ考えられるが、政府が15年、金融改革に本気に取り組むという観測が強いこと。中国経済の成長スピードは低調だが、金融緩和政策によって市場に資金が出回り、実体経済を下支えするとの見方だ。
中国の李克強首相も1月21日、スイスのダボス会議で、昨年の国内総生産(GDP)伸び率が7.4%と24年来の最低だったことについて、「10年前ならば、10%以上の伸び率に匹敵する」と強気だ。さらに、李首相は「中国政府は金融改革を継続し、市場化を進めており、中国経済がハードランディングする危険性はない」と自信たっぷりに断言した。
次に、逆説的になるが、不動産価格が急落していることも原因らしい。
というのは、中国では、庶民が投資する方法は不動産か、金、あるいは、株式が最もポピュラーだからだ。これまで急騰してきた不動産がひとまず落ち着きを取り戻し、バブル崩壊という物騒なシナリオまで、まことしやかにささやかれると、もはや不動産投資どころではない。
ということで、「むかしの夢よ、もう一度」とばかり、再び投資資金が株式市場に戻ってきたということらしい。
本当に今年が中国株急騰の年になるかどうかは神のみぞ知るだが、その兆候は十分出ており、今年の中国経済の好材料になってほしいものだ。
(相馬 勝)
写真:全国人民代表大会(全人代)で演説する李克強首相=CCTVから=筆者撮影