誤魔化しだらけの安倍流「地方創生・子育て」予算
政府は14日、2015年度予算案を閣議決定した。一般会計総額96兆3420億円は過去最大規模である。
「元気で豊かな地方創生、子育て支援など社会保障の充実に最大限取り組むとともに、国際発行額を4.4兆円減額し、6年ぶりに40兆円を切ることができた。経済再生、財政健全化を同時に達成するために資する予算となった。一日も早い成立を目指し、全国津々浦々に景気の成果を届けていきたい」
閣議決定直後、安倍晋三首相は記者団を前にこう述べ、経済再生と財政再建の両立に自信を見せた。
アベノミクスの成果が問われるのはもちろんだが、さらには安倍首相自らが決断した消費税率10%引き上げ先送りと大義なき解散総選挙で生まれた政治空白がもたらす負の側面も気になるところだ。
たとえば、財政再建については政策経費の国債依存度を示す基礎的財政収支が一つの目安となる。今年度は13兆円4123億円の赤字で地方分を含む赤字の対国内総生産(GDP)比は3.3%になる。政府が財政健全化目標に掲げる対10年度実績6.6%の半減を達成する見込みだ。
ところが政府がさらに20年度までに黒字化させるとした最終目標について麻生太郎財務相は同日の記者会見で「極めて難しい状況。徹底した歳出面の改革が必要だ」(麻生太郎財務相)と述べて、早くも諦めムード漂う。
つまりは基礎的財政収支をピッタシ2分の1になるよう3.3%に収めたのは消費税率引上げ先送りで財政再建が遠退いたとの批判を逃れるための帳尻合わせでしかないのだ。
しかも歳出カットのターゲットにされているのは消費税率を10%に引き上げていればより充実した福祉サービスが受けられるはずだった社会保障費や地方にとっては死活問題とも言える地方交付金なのだから、見かけ倒し掛け声だけの「豊かな地方創生」と「子育て支援」である。
(藤本順一)<t>
写真:首相官邸HPより