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マスコミ報道からは見えてこない民主党代表選の行方

 民主党代表選が7日、告示された。

 立候補したのは長妻昭元厚労相(54)、細野豪志元幹事長(43)、岡田克也代表代行(61)の3人。国会議員・国政選挙公認予定者と地方議員、党員・サポーター票をポイントに換算し、総数760ポイントの過半数を得て代表に選出される。いずれの候補も過半数に届かなかった場合は国会議員、国政選挙公認予定者のみで上位2人のよる決選投票を行う。三者三様、注目点はやはり党再生に向けた考え方の違いであろうか。

 

「民主党再生のラストチャンス。女性や若者を再結集し、多様性を重んじたい。未来志向の改革政党という原点に立脚して党を立て直したい」

 

 同日の共同記者会見で岡田代表代行はこう述べ、自主再建に向けた挙党一致の党運営に自信をみせた。

 

 一方、維新との合流に積極的な細野元幹事長は「党として一緒になるのは現実的には難しい」としながらも「場合によっては厳しい対応もしなければならない」と述べ、解党も選択肢に入れた「民主党の過去との決別」を強調。長妻元厚労相は「他の野党の皆さんが民主党に移っていただけるような受け皿となりたい」と述べるに止めた。

 

 政策的には党内右派グループが支援する細野氏と左派グループの支援を受け護憲の旗を掲げる長妻氏とが対極にあり、岡田氏は両者の接着剤的役割を担う中間派といったところか。推薦人の顔ぶれを見れば三者の違いはより明確だ。

 

 推薦人はそれぞれ25人。長妻氏は衆院議員が9人で参院議員が16人。細野氏は衆院議員が15人で参院が10人。岡田氏には衆院議員14人、参院議員11人が名を連ねているが、長妻氏には衆参共に旧社会党系の労組が支援する組織票頼みの比例議員がずらりと並ぶ。それならば、そっくりそのまま社民党と合流して新党結成してもよさそうなものだ。

 

 また、細野氏の場合は衆院議員の大半が選挙地盤の脆弱な比例選出の若手議員で占められている。風頼み、細野人気に再選を期待してのことだろうが、逆に言えば、他力本願の彼らに党員・サポーターの集票は期待できない。

 

 では岡田氏はどうか。衆院議員の多くは強固な後援会組織を待ついわゆる「選挙に強い」議員ばかりだ。しかも顔ぶれは野田佳彦元首相や安住淳氏などの保守系から社会党出身の阿部知子氏や辻元清美氏まで幅広い。参院議員も蓮舫氏や北沢俊美氏など大半が選挙区選出である。さらには大票田のゼンゼン同盟や電力、自動車など有力労組系議員も名を連ねる。マスコミ世論には細野氏有利に映るようだが、はたしてどうか。

 

(藤本順一)<t>

写真:民主党HPより