カネで票を買う安倍政権の地方創生バラマキ予算
「日本経済を必ず再生する。そのためにはこれまでにない大胆な改革を進めていかねければなりません」
仕事始めとなる5日、三重県の伊勢神宮を参拝した安倍晋三首相は年頭会見でこう述べ、次期通常国会を「改革断行国会」と名付けた。
さらに「私たちがまいたアベノミクスという種は、この2年間で大きな木へと成長し、今、実りの季節を迎えようとしています。しかし、いまだ成長途上であります。今年も経済最優先で取り組み、全国津々浦々、1人でも多くの皆さんにアベノミクスの果実の味を味わっていただきたいと考えています」とも述べている。はたして「3年目の正直」となるかどうか。
まずは通常国会冒頭に処理する総額3.5兆円規模の経済対策を盛り込んだ今年度補正予算案が試金石となろう。
目玉となるのは地域経済を下支えするための総額約4200億円に上る「生活緊急支援」交付金だ。具体的には商品券、旅行券の発行や灯油購入の補助、子育て支援などから自治体が使途を選択する総額約2500億円の「消費喚起・生活支援型」交付金と人口減対策に使う「地方創生型」交付金の2種類がある。
春の統一地方選に向けて地域重視を強調した内容だが、商品券の発行については過去、小渕政権下に総額6000億円の地域振興券を発行、麻生政権下では2兆円が現金給付されたが、消費効果はいずれも支給額の3割程度に止まっており、いわば砂浜に水を撒くような惨憺たるもの。それでもなんだか得したような気分になるのが“大衆心理”というものだが、詰まるところ景気対策に名を借り、税金を使って有権者を合法的に買収するに等しい。
とりわけ先の総選挙で公約の目玉に消費税率10%引き上げに伴う「軽減税率の導入」を掲げて議席を増やした公明党は露骨である。同じ日に行われた同党の新春幹部会で山口那津男代表は「(今春の)統一地方選がわが党にとって最も重要な戦いだ。昨年の総選挙では貴重な議席を増やしていただいたが、今年は国民の期待に恩返しする年だ」と述べて恥じるところがない。アベノミクスの成果が厳しく問われる一年である。
(藤本順一)<t>
写真:首相官邸HPより