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国際振り込め詐欺にご注意!

 2014年12月17日、西サハラ難民政府の一高官から、「助けてくれ!」という緊急メールが入りました。急病?冬の大洪水?難民キャンプが襲われた?難民がアキム(北アフリカのアルカイダ)に誘拐された?モロッコが難民の誰かを逮捕した?・・・ 詳細が書かれていなかったので、色々と思いをめぐらしながら、返信しました。

 以下に筆者とメールの送信者との交信を転送します。

 

Urgent Help (緊急、助けて!)

「Hello, Please i need a great favor from you. Please reply as soon as possible」

(メールの意訳:こんちは、君の助けが必要だ。早急に返事をくれ)

筆者はすぐに、「何があったの?助けるのはやぶさかしないけど、事と次第によるよ」と、返信した。預貯金なしの経済状況なので、金の無心だったら、即、断ろうと思っていた。

 

Urgent loan $1.350 (緊急に1,350ドル)

「Am out of Country to Turkey for a Business Meeting, I have a little problem here, my card didn't work here... I don't have any money with me right now, if i could get an urgent loan of $1,350 from you」

(メールの意訳:私は商用で国を出てトルコに来ている。ちょっと困った問題が起き、私のカードが作動しないのだ。今、私はまったく文無しだ。1,350ドル緊急に用立ててくれないか?)

「きた~やっぱり金だ」、これは無視すればいい。しかし、言葉遣いはいつもの調子だが、不審な箇所が多々ある。

 <国を出る~>? 難民はアルジェリアに居候していて、彼らは難民キャンプを国とは言わない。

 <トルコに商用~>? トルコと西サハラは国交がないから、簡単に出入りはできない。それに、難民政府の高官が<商用>というのも解せない。怪しい!振り込め詐欺の臭いがプンプン!!

 

Email hacked ! (イーメイルがハックされた!)

My Email was recently hacked by unknown .Therefore not take in consideration any message seeking help from my Email ,」

(メールの意訳:最近、私のイーメイルが誰かにハッキングされた。だから、私のイーメイルを使った援助要請は無視してくれ)

 振り込め詐欺容疑者のメールに続いて、上記のメールが本人から送られてきた。西サハラ難民政府の高官は、<hack>されたと言っている。が、<crack>されたと言うべきだ。<hack>とは<耕す>とか<細かく切る>などの意味を持ち、転じてコンピューターに熟知し、その技術を電子技術の設計や改革することをさす。その行為を悪用し、他人のコンピューターに不正なアクセスをし犯罪を行うことは、<crick>と言われている。

 <ハッカー>とは知識と技術に長けた尊敬されるべき技能者で、犯罪者ではない。ノーベル賞にもノミネートされたスノーデンに怒られるよ!

 

New email address (新しいメール・アドレス)

I would like to inform that the new official email adress

(メールの意訳:新しい公式イーメイルのアドレスを知らせたい)

 さらに、件の西サハラ難民政府高官から、上記の追加メールが送られてきた。

 いずれにしろ、新しいイーメイルも近々にクラックされる運命にある。イーメイルで秘密情報の交換なんて、無防備に頼るほうがどだい無理だ。イーメイルに書くことは、敵も味方もみんなが見てるということを念頭に、思いっきり気取って派手に自己主張してください。一番お手軽で金のかからない自己宣伝道具です。

 

 西サハラ難民政府によると、殆ど全ての、西サハラ難民政府高官のイーメールが様々な形でクラッキングされているそうだ。モロッコは西サハラ難民に、<国際振り込め詐欺師>、<麻薬密輸人>、<テロリスト>など、犯罪者のレッテルを貼り付けようとしてる。

 しかし、BBC英国TVはモロッコの方が犯罪者であることを、暴露した。

 2014年12月14日のBBCによると、「最近、モロッコ地方の経済はハシシに頼っている。ハシシの栽培と麻薬を運ぶバックパッカー(旅行者や不法移民などリュックを背負ったモロッコ人)がモロッコを支えている」と、ある。

 さらに12月16日のBBCは、「モロッコ北部にあるスペイン植民地のセウタとメリージャで、シリアやイラクのイスラム国戦闘員になろうとしていた4人の女が、スペイン・モロッコ合同捜査陣によって拘束。モロッコ領内でも2人を逮捕。イスラム国軍に約100人のスペイン人が参加しているが、モロッコ人は約2,000人もいる」と、報告している。

 

 国内の振り込め詐欺師からは全くお声がかかりませんが、筆者の経済事情を知らない外国の振り込め詐欺師は、連絡してきました。

 世界中、振り込め詐欺師だらけです。

 お気をつけください。

 

(平田伊都子)<t>

PHOTO by Kusakabe (Flickr: 流石おばあちゃんの原宿…) [CC BY-SA 2.0 (http://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0)], via Wikimedia Commons

※巣鴨信用金庫 振り込め詐欺撲滅キャンペーン