ノーボーダー・ニューズ/記事サムネイル

女性が輝く?戦闘地!イスラム国の捕虜になった?イスラエル軍女性兵士

 2014年11月末にイスラム系のインターネットが、「元イスラエル軍女兵士ジル・ローゼンバーグ(31)がコバニ近くの戦闘地でイスラム国に誘拐された」と、伝えました。ジルは、2014年11月20日に「これから2週間は、インターネットを使うことができない」と、フェイスブックで情報発信してから、消息を絶っていました。2007年ごろに撮ったと思われる、IDFイスラエル国防軍の制服を着て輝く笑顔で銃を構えるジルの写真を見たことがありませんか?

 

【イスラエル軍女兵士ジル・ローゼンバーグ】

 2014年12月1日、「オッス!私は全然安全だし、危険なんてない。ただ、ネットを使える環境には置かれていない。それは私の身を守るためなんだ。私は定期的に発信できない。でも、チャンスがあったら、また送るよ。私のことをとやかく噂するくそったれ報道、私がトッ捕まったなどという情報などは無視してね。私についてきて。」と、話題のイスラエル軍女兵士ジルは自らのフェイスブックに投稿し、誘拐の噂を否定した。

 イスラエルのワッラ情報によると、ジル・ローゼンバーグは、2006年にカナダからイスラエルに移民してきたカナダ系イスラエル人で、イスラエルの首都、テルアビブに住んでいる。民間パイロットの経験があり、2年間、イスラエル軍の兵役に就いていた。

 国民皆兵のイスラエルでは男女を問わず兵役が課せられていて、退役後も予備役がある。従って、元女兵士は事実上<現役の女兵士>だ。

 2014年11月初旬、ジル自身がイスラエル・ラジオのインタヴューに応じ、「私は、クルド戦闘員とネットで連絡を取り合ってきた。イラクに入ったことがあり、これから北シリアの戦闘地域で闘う。彼らは我々の兄弟だし、いい人たちだ。我々と同様、生命を愛している」と、語った。

 イスラエル紙ハーレツは、12月1日のローゼンバーグ投稿に関して、「彼女自身がフェイスブックに投稿したかどうか、確認していない」と、書いている。イスラエル政府はこのイスラエル軍女兵士誘拐に関して、正式にコメントしていない。しかし、イスラエル人がイスラム国側にもイスラム国と戦うクルド側にも入っていることは、明白だ。

 一体、イスラエルはイラクとシリアの戦闘地域で何を企んでいるのだろうか?

 ちなみに、イスラエル軍予備役兵は、学生やツーリストや人道活動家などと姿形を変えて、日本にもいる。

 

【クルド軍10,000人の女性兵士?】

 2014年11月3日の新華社は、「シリア国境都市コバニがイスラム国に包囲攻撃されて1ヶ月が経った。クルド<女性兵団>は徐々に知られている。クルド軍の幹部によると、この女性兵団の兵士は1万人を超え、イスラム国に抵抗する行動において重要な役割を果たしている。クルド軍の上級指揮官は<今月早く、ある女性兵士はコバニ近郊でほかの兵士撤退を援護し、イスラム国を阻止するため、爆弾を起爆し、イスラム国兵士10人と共に死んだ>と語った」と、伝えた。

 2枚の写真付きで、一枚目はクルド軍言うところの女性軍団。17人が戦闘服姿でカラシニコフ銃を手にして、記念写真におさまっている。

 そしてもう一枚の写真は、カラシニコフ銃を左手にペットボトルを右手に持った、輝く笑顔の白人女性。バックには銃を手にした5人の外国人傭兵、ジーパンにフード付きジャンバー、くたびれたスニーカーと、山岳訓練を楽しむ彼女は、正しく件のイスラエル女兵士ではないか?!クルド軍が言う「女性兵団」の中に、イスラエル女兵士を含む多数の欧米女性が混じっているという、何よりの証拠だ。

 クルド軍幹部の言う<一万人の女性兵団>というアバウトな数は、マスコミ受けを狙った発言ではないだろうか? もともとスンニ派イスラム教徒が大半を占めるクルド人が、女性に率先して銃を持たせるだろうか? ゲーム感覚で戦闘を楽しむ女傭兵たちの、真の目的は何なんだ?

 

【男女不平等論(トルコ大統領)】

 トルコ人の大部分もクルド人と同様に、スンニ派イスラム教徒だ。トルコはイラクやシリア等と国境を接していて、その国境に住むクルド族とは常に一発触発の危険な関係にある。しかし、今回の欧米が扇動するイスラム国叩きでは、欧米の圧力で参戦を余儀なくされ、宿敵クルド族と一緒になって戦う羽目になってしまった。「この際だから、いっそトルコはクルドとお友達になって、話し合いで国境問題を解決していけばいいじゃん」と、戦闘で輝きたくない筆者は思うのです。

 そのトルコ大統領エルドアンは、2014年11月24日、イスタンブールで開催された<女性に対する暴力防止>の国際会議で演説し、「女性と男性を平等の地位に置くことはできない。自然の摂理に反している」と、発言した。「妊婦に男性と同じ条件の仕事をさせることはできない。子どもに母乳を与える母親を男性と同じにできない」と言い、「正しくは、女性の間での平等であり、男性の間での平等だ。我々の信仰(イスラム)では女性の地位は母親。母親であることが(女性の)最高の地位だ」と、エルドアン大統領は語った。

 「女性は結婚して出産すべきだ」とするエルドアン大統領は、お友達のクルド軍団で働く<一万人女性軍>のことをどう思っているのだろうか? とりわけ<女傭兵>のことに関して、忌憚のないご意見をエルドアン大統領に伺ってみたい。

 

 2014年12月5日、BBC英国TVが、「ILO国際労働機関によると、ヨーロッパ女性は男性より教育を受けていて仕事量も多いのに、賃金が少ない。英国でも、平均して男性より女性の方が28%も賃金が低い。」と発表した。

 一体、傭兵の賃金はいかほどなんだろう? イスラム国とクルド軍の傭兵賃金に格差があるのだろうか? 男傭兵と女傭兵の賃金は平等なんだろうか? 敵味方に分かれて殺戮を続ける欧米の女性たちのために、ILOは調査して欲しい。

 

 輝きたがっている日本女性のためにも、ぜひ、ILO調査をお願いします。

 

(平田伊都子)<t>

写真:ジル・ローゼンバーグのFacebookより