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NHKは公共放送の矜持をかなぐり捨て、安倍氏は自分が主張する公平な発言時間を守らず

 自民党の「選挙に関する圧力文書」が明るみに出た後2~3日間だがNHK放送を見る限り、相変わらず“自民党のいう公平・中立”を優先し、反省なり改善の努力はしていないようだ。

 

1.先ず30日午前の「日曜討論」。この日は各党党首が揃った論戦で、各々の政見を開陳した。相変わらず旧態依然としていたのはNHKが公平ではなく、また中立でさえ無視していることだ。

 

 司会は特定の政策課題ごとに最初に与党側、特に自民党安倍総裁に発言をさせ、次いで連立与党公明党の山口代表、それから民主党の海江田代表、維新の党の橋下代表などと指名していた。

 

*それは可としても司会は、一つの課題で論戦が終わる?たびに、最後に安倍総裁を発言・言い訳をさせる。それだけではない。野党代表が安倍氏の主張とは異なる、安倍氏に都合の悪い事実を上げて反論すると、司会の指示をまたず一方的に発言する。基本的ルールも何もあったものではない。司会はただ追認するだけだった。

 

*「選挙報道に関する圧力文書」で、安倍・自民党は出演者の発言の時間まで“公平に”などと細かい“お願い”を出し、テレビ局側に“圧力を”かけたばかりだ。安倍氏は誰よりも多く、長く主張を展開し、自分がテレビ局に押し付けたルールを平然と一方的に無視しているのだ。

 

*一方で、生活の党や社民党は発言の機会が少なくされていてもいた。NHKは、強いものを助け、弱い者に冷たい体質になってしまったのだろうか?

 

*この「日曜討論」も相変わらず、最後は安倍氏に主張・弁解させる形で終わった。安倍氏がいう“公平・中立”は自分たちの許容範囲でのもので、要するに一方的なものであることを安倍氏自身が暴露した形だ。

 

*この種の論戦番組を欧米各国のテレビ局がどう放送しているか、海外に出かけたら是非とも注意して見て貰うと、彼我の違いが判る。「選挙報道に関する圧力文書」が明かにされてもNHKは事の重大性を一顧だにしないようだ。反省の弁もなければ、改善しようとする意思の一つも感じられない。この「日曜討論」一つを見ても、NHKはもはや公共放送の矜持をかなぐり捨て安倍政権の御用放送になってしまったようだ。

 

2.もう一つ気になったのは28日、金曜日の夜9時のニュース。7時のニュースもお粗末だったが、9時のニュース番組はさらに酷かった。

 

*何と、フィギュア・スケートの羽生結弦選手がショート・プログラムで5位に終わったことを、ただただ怪我を押して出場、の感動物語に仕立て上げ長々と放送。何故5位に終わったかの肝心の場面は削除。(番組最後のスポーツ時間帯には流石に羽生選手失敗の場面を放映していたが)

 

 次いでインターネットやスマートフォンなどの新しい人気ビジネスについて、これも長いリポート。総選挙関連のニュースを報じたのは30分ころとなった。

 

*何故、今回の選挙の重要な点とか位置づけを報じて有権者の関心を高める努力をしないのだろうか? ここまでNHKが安倍政権の広報機関と化してくると、有権者の選挙への関心を高めないように、わざと報道しないのではないか、などと勘繰りたくなる。

 

 何故ならば投票率は低い方が相対的に与党・自民党と公明党に有利になると言われる。二つの党は支持者が固定し投票する割合が高いからだ。

 逆に投票率が上がると与党が議席を失う可能性がそれだけ高まり、選挙に敗れる可能性だってある。NHKはそれを意識して選挙への関心を高めようとしないのだろうか?

 

*選挙は、特に今回は国家イデオロギーの安倍政権の本質を問う選挙で、国民生活に大きな変化、影響を与えかねない。既に憲法を、基本的人権を無視するような政策を進めようとしている。

 海外メディアは既に失敗していると報じている“アベノミクス“。それだけが争点ではないのだ。

 

 公共放送であれば、これまで以上に日本が抱える問題点を列記し、有権者への選挙への関心を高める努力をするべきなのに、それを怠っているようだ。

 

 視点を変えて見ると、直接数百万家庭に働きかけることが出来るNHKの報道姿勢は、安倍・自民党が出した報道圧力以上に悪質だ。

 

 視聴者の皆さんは安倍・自民党の報道圧力を批判だけでなく、真面目に真剣にNHKの放送を監視し、絶えず抗議なり苦情を行く必要がある。

 

(大貫康雄)

PHOTO by Rs1421 (Own work) [CC-BY-SA-3.0 (http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0)], via Wikimedia Commons