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マドリッドで西サハラ支援デモ、数千人

 「2014年11月14日から16日にかけて、スペインのマドリッドで西サハラ支援ヨーロッパ会議やデモが華華しく繰り広げられた」と、マドリッドの西サハラ代表部が伝えてきました。

 「これはお報せしなくては!」と、原稿を書き始めたのですが、日本では衆議院選挙、エルサレムではユダヤ教の礼拝所シナゴーグが襲われ、国内も国外も騒然としてきました。

 特に血生臭い事件に目ざといイスラエル首相ネタニアフは、待ってましたとばかりにこの機を利用して、「パレスチナ人はテロリスト・キャンペーン」を張り始めました。

 ネタニヤフ・キャンペーンに呼応して、モロッコも西サハラ・テロリスト・キャンペーンを張り始めました。

 

 2014年11月13日、CORCAS(モロッコ王室サハラ問題諮問機関)は、「イタリア中央右翼党の機関紙<イル・フォリオ>が伝えるところによると、ポリサリオ・西サハラ難民政府と虐殺誘拐集団でイスラム国の一部であるボコハラムと関係があるということだ。アルジェリア領土内にあるティンドゥフ難民キャンプの西サハラ人情報によると、153人の奴隷少女誘拐にポリサリオが絡んでいるそうだ」と、デマ作りを始めた。ポリサリオ・西サハラ難民政府とそれを支援するアルジェリアをボコハラムに結びつけ、モロッコは両者にテロリストのレッテルを貼ろうとしている。

 

 スペインの首都マドリッドで、第39回EUCOCO(西サハラの人々に連帯するヨーロッパ会議)が14日から16日まで開かれた。「五大陸から約300人の支援者が一同に会した。西サハラ側からは、アブデル・アジズ西サハラ難民政府大統領、アミナト・ハイデル・モロッコ占領地西サハラの活動家を始め、政府要人や活動家が多数参加した」と、主催が発表した。EUCOCOの会長ピエール・ガランは、西サハラ民族自決権を支持し、国連が指導する<両当事者の交渉>を早期に再開するよう国連を促した。

 

 11月14日、モロッコ占領地・西サハラにあるブジュドウールという小漁村で、沖合で海底油田探索を開始しようとしているコスモス・エネルギー会社などに反対するデモンストレーションを決行した。西サハラの領土と領海は国連によって未確定地域に規定されており、そこでの天然資源に手をつけてはいけない。掘削も漁労も探索も国際法によって禁じられている。一方、モロッコ占領当局は西サハラ被占領民によるあらゆるデモを禁じており、デモの村民たちはモロッコ占領警察が到着する前に証拠写真を撮り、逃げた。モロッコ占領地・西サハラでは、集会や出版は禁じられ、言論の自由などない。

 

 11月15日、マドリッドで、1975年来モロッコに占領されている西サハラの独立を目指す投票を支援して、数千人規模のデモが行われた。デモ隊は、「スペイン政府は西サハラ人自身がその将来を決める住民投票を実施するよう、国連に圧力をかけろ!」と、訴えた。1975年に、スペインは当時のスペイン領・西サハラから国連や西サハラ住民に無断で撤退した。従って、国際書類上の西サハラ宗主国は、未だにスペインということになる。但し、現在、西サハラを実効支配しているのはモロッコで、西サハラはモロッコの植民地である。

 

 モロッコは国連が提案している交渉の席に着くことを拒否してきました。

 飯がまずいとか、場所が気にくわないだとか、ロス国連事務総長西サハラ個人特使が厭だとか、何かと難癖をつけて2年半以上も国連和平交渉を馬鹿にしてきました。そして今や、「モロッコ大王国が西サハラ難民政府などと称するポリサリオ・テロリスト集団と同席できるか!無礼者めが!!」というキャンペーンを張り、国連交渉を拒絶しようとしているのです。

 

 モロッコの国連拒否はイスラエルのそれに、限りなく近づいてきました。

 

(平田伊都子/文と写真)