スマホ依存症にご注意あれ
いよいよここまで来たかと思わせる光景だ。
歩道の真ん中に幅10センチ程の白線が引いてある。その線の片側に大きなスマートフォンのイラスト。反対側にもスマートフォンのイラストが描かれているがこちらは大きな丸で囲まれ真ん中に太い斜めの線が入っている。お馴染みの禁止マークだ。もうお分かりだろう。自転車レーンならぬスマホ・レーンが登場したのだ。場所は中国の重慶市。都市人口で同国7位の活気溢れる街である。
手に持ったスマホを見ながらのろのろ歩いたり、突然立ち止まったり、挙句は他の歩行者とぶつかったりするスマホ・ユーザーに困っているのは世界共通。そこで登場したのがスマホ・レーンというわけだが、実際に守っている人は少ないと米国ABCニュースは伝えている。なにしろ中国ですから。
しかし現状は笑いごとでは済まされない。米国ではスマホに熱中するあまりショッピングモールの噴水池に落ちた人がいるし、オーストラリアでは桟橋から海に転落したバカもいる。こうなると立派な「スマホ依存症」という病気だ。なんと睡眠中に無意識にスマホを握ってメールを打ち、起きた時にはまったく覚えていないという深刻なケースさえあるとニューヨークの医師が報告している。仕事に追われる睡眠薬常用者に多いようだが、英語ではこの症状を“sleep texting”と呼ぶそうだ。夢遊病ならぬ「夢メール病」というわけである。
インターネットの登場と情報通信技術(ICT)発展のお陰で、私たちの生活は飛躍的に便利になったが、その利便性の裏側でスマホ依存症のような新しい問題が起きている。1日の大半を下向き姿勢でスマホを見ているため、睡眠不足や体調不良になったり、他人とのコミュニケーション能力が低下して健全な社会生活が送れなくなってしまうのだ。その数は想像以上に多いと専門家は指摘する。あまりに多すぎて意識されないというのが日本を含む先進各国の現状なのだ。ケータイ・ネット依存症に警鐘を鳴らすジャーナリスト柳田邦男さんは著書『壊れる日本人』の中で以下のようなエピソードを紹介している。
『日本のN大学が夏期短期留学制度で提携先米国大学に学生たちを送りだした。ところが予想もしなかった事が起きた。キャンパスでも寮でも携帯電話の使用が禁止されていたのだ。そのことを知らされていなかった学生たちの多くは現地到着後に不安感に襲われ、なかには焦燥感さえ抱くようになった者もいた。まさに麻薬が切れた中毒患者状態。さらに興味深いことが起きた。時間が経つにつれ、ケータイで親や友人と話が出来ない学生たちは自分でゆっくり考えるようになり自力で問題を解決するようになったのだ。スマホ依存症から解放されたのだ。』
以下はスマホ依存症チェックリストだ。
該当する番号にチェックしてみよう。
1.スマホを忘れた日はとても不安になる。
2.無意識にスマホを触っている。
3.充電出来るか、wi-fiがあるかで店を決める。
4.財布を忘れてスマホだけ持っていることがある。
5.朝、寝たままスマホでSNSやニュースをチェックする。
6.わからないことはすぐスマホで調べる。
7.着信してないのに、スマホが振動した錯覚に陥る。
8.スマホを握ったまま寝てしまう。
9.食事中にスマホを見ている。
10.スマホの電波が届かないところに行きたくない。
11.Facebookなどに書き込むネタをつくるために行動することがある。
12.SNSがなくなったら人間関係が亡くなると感じる。
13.会議や宴会中でもFacebookやTwitterが気になり見てしまう。
7個以上チェックがついた方は要注意だとか。
おっと、私もそのひとりだ!
(蟹瀬誠一)<t>
PHOTO by Tomwsulcer (Own work) [CC0], via Wikimedia Commons