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都心環状線を走るクルマの6割が都心に用事なし! 迂回させる方策とは?

 9月19日午前、国交省内で社会資本整備審議会道路分科会が開催された。主に首都圏の高速道路網を「かしこく使う」ための方策について話し合われた。この中身が結構興味深いのでお伝えしたい。

 

●都心流入でのボトルネック解消策

 すでに実験が行われているが、これまで片側2車線路として使用していた高規格道路の規制線を引き直して3車線にする。中央道の子仏トンネル付近はアップダウンが続く。とくに都心方向の上り線は子仏トンネルの手前でこれだから、アクセルを踏み込めない状況で暗いトンネルに差し掛かるため、休日の午後から夕刻にかけて激しい渋滞が発生する。その先の調布IC合流部から深大寺バス停付近も上り坂となっており、こちらは休日午後に加えて、平日午前も渋滞が頻発する箇所だ。この対策として調布付近では車線と路肩幅を削って3車線化する。子仏トンネルは車線を増やす工事を検討する。また先頃東名高速と圏央道がつながったが、圏央道に乗るクルマで混雑がはげしくなっている。国道129号の渋滞緩和のため、厚木PAスマートICの設置を検討する。

 

●料金自動収受システムETCは第2世代へ

 都心環状線を走るクルマのうち60%、中央環状線を走るクルマの36%が、都心に用事のないクルマ。こうしたクルマを都心にこさせないために、外環道や圏央道の整備が急がれるが、加えてETCもバージョン2.0にアップされる。1km先の渋滞状況を静止画で見せたり、災害時における災害発生状況などもドライバーに随時知らせるようにする。民間駐車場での決済システムへの応用なども始まった。単なる料金収受から運転支援システムとしての役割をもたせることを狙っている。

 

●料金所を減らす

 実は本線料金所での事故は結構多い。平成24年度をみると、首都高速上り線用賀料金所で127件、東北道浦和料金所(上下線合計)105件など、幹線高速道路と首都高速の境目の本線料金所で事故が多発している本線料金所を減らすために、ETCを活用した継ぎ目のない料金体系と収受システムが近々、採用されるかもしれない。大都市圏の料金体系については、料金の均一化や都心にこさせないために、多少遠回りでも時間コストも実際の料金も下がる手法の導入が検討される。ただし、国交省お得意の「ミッシングリンクの解消」名目で高速道路をまだまだ作り続ける魂胆も見え隠れしている。安全安心に便乗しての採算のとれない道路づくりはよくよく慎重にお願いしたいものだ。

 

(神領貢/文と写真)