消費税10%で取得税廃止も 自動車ユーザーに増税の罠
9月12日午前、総務省内で「自動車関係税制のあり方に関する検討会」が行われた。来年10月に消費税が10%に引き上げられた場合、同時に自動車取得税(現行3%)を廃止することがすでに決まっている。が、これと時を同じくして、「環境性能課税(以下、環境税)」と言う名前の地方のための新税創設が計画されている。自動車雑誌「マガジンX」は取得税の付け替えとも取れる環境性能課税には一貫して反対の立場だ。
検討会は冒頭部分以外まったくの非公開。検討会終了後に記者レクが行われたので記者は参加した。早速、神野直彦会長(東京大学名誉教授)に質問した。
記者 「取得税廃止のタイミングで環境性能課税を創設するのは、税収の付け替えではないか?」
神野 「違う!税の構造改革だ」
環境税の税収規模について明言はなかったが、過去5年から10年程度の税収を目安に税収中立とする。その上で取得税廃止分を確保すると話す。新税の規模は他の財源がなければ、取得税廃止分相当(取得額の3%以下程度)になるわけだ。これって日本語で、「税の付け替え」って言うのではないか。なお、新税はクルマ購入後翌年の自動車税初回納付時に1回かぎりまとめて請求が来る。
神野会長はこうも言う。「税の本来の役割は、国民にとって必要なサービスを提供するための費用。徴税は公平でなければならない」
地方自治体は国と同様、財政難に苦しんでいる。神野会長がいくら税の「付け替え」ではないと強弁してみても、資料を読む限り取得税等の減収分を確保する目的で「環境税」が創設されようとしているのは明らかだ。
総務省都道府県税課には、自動車ユーザーは「税、通行料金、自賠責保険、各種手数料など、ものすごい負担感を持っている。わかって欲しい」と伝えた。
毎年のことだが、10月には業界あげての税制改正要望が出される。単に「税金下げろ!」と叫んでみてもユーザーの負担軽減は実現しない。自治体には集めた血税を有効かつ無駄なく使う努力をお願いするとともに、多くの国民が納得できる税金の取り方には知恵を絞ってもらいたい。
(神領貢/文と写真)
資料提供:総務省