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スコットランドの住民投票 カタルーニャ、西サハラでは…

 キュリアス・アニマルCURIOUS ANIMAL(好奇心が強い動物の意味)という英国のネット雑誌が、2014年9月11日に<住民投票ブーム>の特集を組みました。

 お題は、<スコットランドの住民がその未来を決めるのにあやかって、他の国でも独立宣言を擦るチャンスを伺っている>というものです。

 中身は、9月18日に<住民投票>をする英国スコットランドを皮切りに、11月9日に<住民投票>を予定しているスペインのカタルーニャ、国連が約束した<住民投票>の予定が全く立っていない西サハラなどなど……世界の<住民投票ブーム>を伝えています。


 以下に、キュリアス・アニマルの記事を参照にしつつ、住民投票の現状を紹介します。

 



(1)「スコットランドでは数か月にわたるキャンペーンの後、独立を問う住民投票が行われる。結果はともあれ世界の各地で<住民投票>そのものに対して、ブームが巻き起こっている」と、キュリアス・アニマル誌は報道する。

 スコットランド王国は、1707年にイングランド王国と合併してグレートブリテン連合王国を成立させるまで、独立した王国だった。しかし、合併後はイングランドが優位を占め、独自の文化と習慣を持つ誇り高いスコットランド人としては、屈辱を感じ続けていたという。北海油田や核兵器を運用する英国海軍基地を後ろ盾に強気のスコットランド住民は、経済封鎖的な脅しで独立を阻もうと必死な英国中央政府に、投票で勝ちつつある。スコットランド住民投票は英国中央政府も認める民主的な独立運動で、暴力で他国に侵略し独立をでっち上げるのとは全く違う。

 tn201409151114151(スコットランドの旗)



(2)「カタルーニャの独立運動は、多民族や他国や多言語との戦闘ではない。我々の未来は平和的に民主的に投票で決める」と、カタルーニャの政治家・リカルド・ジェネは語る。

 カタルーニャはもともとスペイン中央部とは違う言葉や習慣や法律を持つ独立国だった。1716年9月11日にバルセロナが陥落し、カタルーニャ国はスペイン・ブルボン王国から自治権を剥奪され一地方州の地位に転落した。1716年に布告されたスペイン新国家基本法の下にある。


 英国スコットランドの住民投票と大きく違うのは、2012年11月25日からカタルーニャ自治州政府がスペイン中央政府に独立を問う住民投票の許可を求めてきたにも拘らず、今もスペイン政府が1716年の基本法を引き合いに出して拒否している点だ。しかし、カタルーニャ住民の<住民投票>を求める意志は強く、9月11日には、州都バルセロナで約200万人の<住民投票>要求デモが沸き上がった。

 アルトゥール・マス・カタルーニャ州首相はBBC英国TVのインタヴューで「<住民投票>はカタルーニャ州の住民が望んでいるものだ。我々、州の治政者と州法は住民の意思決定を優先させる。これは、平和的な民主主義の基本で、スペイン中央政府にも住民の意志を尊重する義務がある」と、アルトゥール州首相は11月9日の住民投票実現に楽観的だ。

 tn201409151115401(カタルーニャの旗)

(3)「西サハラは、40年近く苦しい独立運動を続けてきた。自由と独立を求める最後のアフリカ植民地だ」と、リマム・モハメド・アリ西サハラ難民政府の英国代表が語る。

 「西サハラは、1975年に旧スペイン宗主国が不法にモロッコとモーリタニアへ分譲するまで、スペインの植民地だった。モーリタニアが西サハラから撤退した後モロッコが占領し、西サハラとモロッコの戦闘が続き、1991年に国連が国連主催の西サハラ住民投票を提案し、両者はこの和平案を呑み停戦した。しかし、23年たった現在も国連西サハラ住民投票は実施されていない。住民投票を拒否するモロッコは、国連主催の交渉にも応じない。西サハラ国連住民投票の実現には、国際社会の強力な後押しが必要だ」と、リマムは訴えた。

 1975年に西サハラ植民地を勝手に放り出した旧西サハラ宗主国スペインは、跡始末をしなかったので、国際法上は未だにスペインが西サハラの植民地宗主国になったままだ。

 心あるスペイン人はアフリカ最後の植民地・西サハラの状況に責任を感じているようだ。

 スペイン地方自治州17の殆どが、スペイン中央政府に遠慮することなく、西サハラと友好関係を結んでいる。

 

 キュリアス・アニマルでは取り上げていなかったのですが、忘れちゃいけない独立予備軍に、スペイン北部のバスク自治州があります。

 この地方はカタルーニャ以上に独立心が旺盛で、<エタ>と呼ばれる軍事組織がスペイン中央政府と戦ってきました。

 バスク自治州は西サハラの独立運動を強く支援し、西サハラ・バスク友好協会を作り、バスクの州都には、西サハラ大使館を置いています。


 2014年9月の初めに、アネとホセを団長とするバスクの人権組織がモロッコ占領地・西サハラに、西サハラ住民投票と人権侵害調査のため入りました。

 しかし、目的地のダハラ漁港に着いた9月11日に、モロッコ占領当局の手で追放されてしまいました。

 

 住民投票ブームの波が、暗礁に乗り上げた西サハラ住民投票を動かしてくれることを、大いに期待しているのですが……。

 

(SJJA=サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション代表:平田伊都子)