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内閣改造ではっきり見えた解散は自民党結党60年の夏

 主要閣僚の顔ぶれはほとんど変わらず、サプライズ人事もない。目新しさは女性閣僚が2人から5人に増えたことくらいか。しかしそれも、党三役から高市早苗政調会長を入閣させ、一方で野田聖子総務会長が選に漏れたのがひっかかる。共に将来の女性宰相として期待される人材だが、周知のとおり高市氏は先の総裁選で安倍首相の推薦人に名を連ねるいわば、安倍親衛隊長である。対する野田氏はリベラル派女性議員の代表格であり、安倍首相とは肌合いが異なるが、この2人が揃って3役に起用されたことで党内バランスが保たれていた面もあった。

 

 ところが安倍首相は、今回の人事で一方を切り捨ててしまった。理由は野田氏が集団的自衛権行使容認の憲法解釈変更について左派系論壇誌「世界」6月号で「違う政権になったときに解釈を変えることが可能になり、政策の安定性がなくなるのではないか」と安倍首相を公然と批判したからだ。党内の意見を取りまとめる総務会長の立場であれば、確かに顰蹙もの。倒閣運動と取られても致し方ないところだ。聞けば朝日新聞政治部の秋山訓子副部長にそそのかされたようだ。野田氏が最も信頼する新聞記者とのことだが、これでは贔屓の引き倒しである。

 

 折しもこの日、野田氏は55歳の誕生日を迎え、都内ホテルで誕生パーティーが開かれた。総理官邸の雛壇に立つライバル高市氏のドヤ顔にはたして何を思ったであろう。近い将来、政局の発火点になりそうな2人である。

 

 もっとも安倍政権には、これまでさしたる失政があるわけではない。政策の継続性を考えれば全体として悪くない改造内閣の顔ぶれと言えようか。

 

 また政権の安定ということで言えば、谷垣禎一元法務相の幹事長起用には二重丸をあげていい。総裁経験者の幹事長起用はまさにサプライズ人事であった。本欄が幹事長候補の本命としていた二階俊博元経産相と2人、党重鎮実力者が安倍首相を支えるとなれば、政権の安定度は格段に増す。しかもリベラル派に位置する谷垣、二階両氏は公明党からの信頼厚く親中、親韓派の代表的な存在である。安倍首相の暴走に歯止めをかけ、中韓両国との関係改善にも大いに期待が持てるところだ。

 

 かくして安倍首相は経済の先行きに一抹の不安を抱えつつ、自民党結党60年の節目となる年明け通常国会で悲願とも言える集団的自衛権の行使容認を可能とする安保法制の整備に道筋をつけ、解散総選挙に打って出ることなる。

 

(藤本順一)<t>

写真:自民党HPより