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マスコミの劣化が招く、閣僚の暴言野放し

 7日のNHK日曜討論で、甘利明経済再生担当大臣が「デング熱は原発再稼働しないことが原因」、などと暴言。無知なのか、思慮の無さなのか、思い上がりが暴言を引き起こしたのか判らないが辞任して然るべき暴言である。

 しかし、今や政治家の常識を疑うような言動に不感症になったのか、当のNHKも他のマスコミも反応は鈍い。

 

(安倍政権は発足以来、憲法違反の集団的自衛権の限定的容認の閣議決定はじめ、軽挙妄動と言える数々の言動で国内ばかりでなく国際社会に懸念を引き起こしてきた)

 

 こうした“軽挙妄動”に、日本のマスコミは、憲法や民主主義の根本を踏まえた批判を怠ってきた。

 甘利大臣の暴言の背景には、こうしたマスコミ状況を知っての甘えがあったのではないか。

 

(*内閣改造で安倍政権は支持率も向上した?!と報じられる。何時もの展開だ。)

 

 この政権が何をしてきたかを振り返り、継承を鳴らす“検証報道”が無い以上、一般の人々が安倍政権の本質を知る機会がないのだろう。

 

(繰り返すが、安倍政権は集団的自衛権の限定的容認の閣議決定、特定秘密保護法の制定、国家安全保障会議、そして消費税率引き上げなど、国民に憲法違反の懸念を引き起こした。国民を不安に陥れ、国民生活を圧迫する幾つもの政策を推進してきた。及び腰のマスコミからの批判が弱い中、いずれも充分な国会審議も尽くさないまま、圧倒的多数を使っての強行する、本質はそういう政権であるのだが)

 

(*NHKは既に公共放送としての存在意義を問われているが、7日の「日曜討論」は何と閣僚6人が揃い、野党代表は皆無。政権の一方的、アカラサマな宣伝番組と化した。)

 

 甘利大臣の暴言は、既に一部のメディアで批判されているが、こうした番組であればこそ飛び出たのだろう。

 

“原発を再稼働しないと燃料費がかさみ国富が流出する。それで二酸化炭素が増加し温暖化が進む。デング熱の流行はその結果……”と。

 

 まるで“風が吹けば桶屋が儲かる”式のコジツケ落語並み。

 しかし落語では無い。一国の経済と産業政策の最高責任者の発言だけに聴き捨てならない。

 少し勉強すれば、小学生でもあんなことは言わない暴言だ。

 あのような暴言を吐くからには、やはり国民の知らない裏で、相当の利権が蠢いているからだろうと勘繰ってしまう。

 

(*司会者は元政治記者の島田解説委員だが、報道人の基本を忘れたようなお友達懇談会の司会。甘利大臣の発言の真意を問うこともなく、何事も無かったかのように無視して司会を進めた。司会者がジャーナリストでなくても主権者である国民の一人であれば当然、あの質問は真意か?と問うて然るべきところだった。)

 

 まさか、あんな暴言が出るとは想像しておらず、咄嗟に対応出来なかったのだろうか?

 所詮サラリーマンの身、怖気づいて何も質問できなかったのだろうか?

 それであっても、やはり報道に従事する身、あの無様な対応は惨めで見るに忍びなかった。残念でならない。

 

(*問われるのは島田解説委員だけではない。我々一人一人である。甘利大臣の発言は私的な懇談の場でのものではない。れっきとした全国放送番組の中での暴言だ。他のメディアも強い批判の論調を展開すべきであるが、これまでの処、その気配はない。野党は当然甘利大臣の大臣辞任を求めるべきだろうが、各社の報道を見る限り動き出したところはない。)

 

 繰り返すが、メディアがこの議会民主主義の精神を無視する安倍政権の政治を振り返り、どんな結果になったのか“検証報道”は内閣改造の前後にも無かった。

 大手メディアは専ら安倍政権の「上げ底報道」、宣伝に努めたと言って良い。

 

(*大半の大手メディアは今回の内閣改造でも“発足以来一人の閣僚辞任もなく改造”、“女性閣僚増”など好意的な報道に終始、そして政権支持率は改造後上昇したと報じる。)

 

 新内閣は「アベノミクスの成果?を地方へ!」の掛け声で「地方創生」だそうだ。

 

 裏を返せば、地方の疲弊が隠せない程に酷くなっているので、口当たりの良い言葉で誤魔化しを図ったのだろう。

 また、この秋の沖縄、福島の二つの知事選挙、それに来年春の統一地方選挙を睨んでの“選挙までのばら撒き政策”かもしれない。

 それを政権の言うまま報道、まるで客寄せの“新装開店の宣伝”だ。

 

(*アベノミクスの成果どころか、安倍政権の金融・経済政策で税金、公的負担金、物価が相次いで上がる一方、多くの国民の生活は厳しくなっている。大手メディアはやむなく、財務省の統計結果は報じるものの、人々の生活実態は一向に報道しない。)

 

 その内、GDPが下がったと報道せざるを得ない時が来るのではないか? その時、安倍政権とマスコミは国民に対し、どう説明するのだろうか?

 

(*“女性が輝く社会!”、“女性が安心して子供を産み育てられる社会!” 結構である。安倍政権が口約束だけでなく、背を向けてきた働く女性たちの環境を具体的に改善していくのであれば……。)

 

 しかし、全国津々浦々で貧困に苦しんでいる女性に、安倍政権の言葉は空虚に響く。

 現実にどれだけ収入が増え、どれだけ時間に余裕が出来るか、緊急で具体的な対策を必要としているのだ。

 具体的な対応は自治体任せ。安倍政権の口約束には切実さが感じられない。

 

(*またそれ以前に、働く女性が出産・子育てをしたくても産休を取得したり、残業をしないでいると、嫌がらせ、イジメ合う例(いわゆるマタハラ)が絶えない、という。)

 

 残念ながら、嫌がらせやイジメを許してきた我々一人一人の意識の遅れ、メディアの意識の立ち遅れ、知的水準の低下がある。

 

 政治家の妄言、軽挙は我々の日々の言動を顧み、我々日本社会を根本から考え直していくことから始めるべきだろう。

 

 同時に、政治家や御用学者たちの暴言・軽挙妄動をマスコミが放って行けば、子どもたちの論理的思考発想に悪影響を及ぼす。

 引いては国際社会でマトモナ議論も出来なくなるのではないか、と危惧されてならない。

 

(大貫康雄)

PHOTO by Annette Boutellier (File:Amari Akira 20070128.jpg) [CC-BY-SA-2.0 (http://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0)], via Wikimedia Commons