安倍首相に届くのか? 生活向上と中韓関係改善を求める国民の声
内閣府が23日に発表した「国民生活に関する世論調査」によれば、昨年に比べ現在の生活が「低下している」と答えた人は20.9%(前年比4.1ポイント増)、現在の生活に「不満」を感じる人が29.0%(同1.4ポイント増)で、いずれも2008年の調査以来6年ぶりに増加に転じたそうだ。
内閣府はこれを「4月の消費税率引上げや電気代の値上がりなどで家庭の負担感が増したため」と分析する。確かに調査が行われたのは6~7月だから、消費税率引き上げの影響は否定しないが、政権発足以来のアベノミクスの経済効果が限定的だったことはすでに政府も認めているところだ。
さらに同調査では「老後の生活設計」に悩みや不安を持つ人が57.9%(同4.3ポイント増)もいて、68.6%(同2.7ポイント増)が「医療・年金などの社会保障の整備」を求めている。
今週はもう一つ、毎日新聞の世論調査が興味深い。安倍晋三首相が8月15日の終戦記念日に靖国神社参拝を見送ったことについて71%が「適切」と答え、84%が11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)で日中首脳会談が実現することに期待感を示している。
靖国参拝についていえば、安倍首相は昨年も終戦記念日の参拝を見送っているから、そのことが中韓両国への配慮とならないことを知っておくべきだろう。
同調査ではまた、中韓両国が「日本は過去の歴史を反省していない」としていることに67%が否定的な反応を示している。
当然の結果ではあるが、過去の歴史を反省せずに中韓両国との関係を悪化させているのは日本国民ではなく、安倍首相ら一部、狂信的ナショナリストであるから混乱なきよう願いたい。
ちなみに集団的自衛権行使容認の閣議決定に対しては60%が反対しており、閣議決定直前6月調査の58%から増加。内閣支持率は47%で前回6月調査から2ポイント増。不支持は1%減の34%だった。
さて、安倍首相はこの2つの世論調査の結果から何を読み取り、何を成すべきか。週明け内閣改造、党役員人事にも少なからず影響を与えるはずだ。
(藤本順一)<t>
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