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過去の教訓を活かせる対応を願う【広島市北部土砂災害続報(3)】

 南が瀬戸内海、北が中国山地の広島市。

 山も海も防災対策が必要だ。高潮対策も、以前は

「20年か30年に一度、起こる災害に金かけるのも」

 昔は、市役所、市議会では平気でこんな話があったという。

「平成3年9月、台風19号で6人が亡くなり、甚大な被害があった。それで国が予算組んで、高潮対策などやろうとしたときも、そんな金をかけてという人がいた。平成11年にも広島市北部で土砂崩れがあった。本当なら、すぐに対策をとるべきなのに、十分にはなされないのが、広島市」

 

 今年2月、広島市議会では、今回の土砂崩れ現場に近い、安佐北区の安佐市民病院の建て替え問題が大きな議題だった。

 松井市長は、移転を推進。だが、与党の自民党会派は現状の場所で建て替えをと訴えた。市議会で賛否を問うと同数。最後は、議長採決で、市長案は否決となった。

「問題となったのが建て替え場所。川の横に高台をつくり、移転するという。水害が起こると反対意見が多かった。今の場所は、水害の危険性が少ない。だから、今回の土砂崩れでも病院として負傷者をケアできた。防災意識が高ければ、川の横に移転なんて発想はしません。市長からして、防災意識に欠ける。そのツケが今回の土砂崩れだったかもしれない」(前出・広島市議)

 

 行政側も、これまで対策は講じてきたという。だが、

「開発の基準を満たしていると、許可するしかない。開発で家が建った、けどあそこは江戸時代に山津波が来たところらしいとか、沢が土砂崩れで埋まりなくなった地盤の弱いところとか、そんな話はたくさん聞いている。しかし行政では、なにもできない。津波のように、何百年前のデータでもきちんと検証、対応する仕組みを作ってほしい。土砂災害警戒区域に指定すればとなるが、土地の価格が安くなり、簡単にはいかない。訴訟されることもある。国がシステムを作ってほしい。地方自治体レベルではどうにもできません」(広島県幹部)

 

 こんな声に対して、国はどう答えを出すのか。

 こんな災害は2度と起きない、システムの構築を祈るばかりだ。

 

(今西憲之・文と写真)

※この記事は『「人災と言われても反論できんのじゃないか」【広島市北部土砂災害続報】』を分割したものです。