女性の活躍は政労使一体の取り組みで
「結婚や出産で7割近く(の女性)が仕事を辞める。人口が減少する中、女性の活躍は選択肢ではない。『この道しかない』との覚悟で取り組む」
加藤勝信官房副長官は17日のテレビ番組でこう述べ、女性の社会選出を促進することが安倍政権の経済成長戦略に不可欠との考えを強調した。
これに関し同氏は子育てで離職した主婦らの職場復帰支援を柱とした「女性のチャレンジ応援プラン」を年末までに策定すると共に、懸案となっている専業主婦やパートタイムで働く妻のいる世帯の所得税負担を軽減する配偶者控除について「はたらくか、育児するかを選択するうえで、中立性を欠くとの指摘がある。しっかり見直したい」とも述べた。
志は良にしても、女性の生き方、価値観は千差万別。いざ各論となれば、こちらを立てればあちらが立たずの難しい舵取りが迫られようか。
たとえば、政府は先にまとめた成長戦略で2020年までに管理職など社会の指導的地位を占める女性の割合を30パーセントに引き上げることを目標に掲げている。
これを先取りする形で財務省は、26年度本省キャリア職員の新規採用22人中、過去最多となる女性5人を採用。省全体の女性職員の割合でも約28パーセントにまで引き上げている。さらに女性職員を対象にしたメンター制度を試験的に導入、ライフスタイルに合わせたキャリアパスの柔軟化にも取り組んでいる。
ただ、これが民間企業となれば、業種によって管理職30パーセントの引き上げ目標は早、絶望的と言っていい。
帝国データバンクが7月に行った調査では、女性管理職の比率が高い方を並べれば、貴金属販売(46.0パーセント)や繊維・服飾品小売り(37.4パーセント)、医療・福祉・保健衛生(20パーセント)となるのはいずれも女性就労者の絶対数が多い職場である。一方、男性就労者の絶対数が多い職場だと運輸・倉庫(3.1パーセント)、建設(4.1パーセント)、製造(5.0パーセント)と極端に低くなる。
「現状とのかい離は大きく、達成には相当の努力が必要だ」と帝国データバンクは指摘するが、努力だけではどうしようもない数字である。もちろん、やらないよりやった方がいい。言い出しっぺの政府が共同して責任を負うよう政労使一体の取り組みが求められよう。
(藤本順一)<t>