Mysterious India 〜神秘的なインド訪問記(4)〜 Darjeeling編
さて、カリンポンから移動すること、3時間。
何度も山々をくぐり抜け、ようやく辿り着いたのは世界三大紅茶の一つで有名な里、ダージリン。
ここも晴れていればヒマラヤ山脈を遠くに見る事が出来(標高世界第3位のカンチェンジュンガも見る事が出来る)、標高2,000mを超えるだけあって、風も冷たく心地よく、まさに避暑地といえるところである。
実際ダージリンに辿り着くまでの間も、車を山中走らせている時はまるで緑のシャワーを浴びている様でとても気持ちが良かった。
<ダージリンの茶畑>
海外からの訪問客も見かけたが、インドの他の州からやってきた現地の人にも遭遇。“はじめての旅行”で訪れる人、新婚旅行に来る人、家族旅行の人、様々な人と出逢う機会があった。バラエティ豊かな宗教、民族と触れあう事で、どう生きるか、何を口にするか、どんな祈りをするのか、など改めて考えさせられる。と同時に、それぞれを尊重しあい、渾然一体となって、一つであるという状態がここインドにはあるのだと改めて感じ取っていた。
(ただ、繰り返しになるが北東部はヒンドゥー教徒よりも仏教徒の方が遥かに多く、民族の比率で考えても、典型的な“インド”ではないだろう、ということも付け加えておく)
<左:ケーブルカーで相乗りさせてもらったシーク教徒の人々>
<中:チベット仏教徒の子供たち(詳しくは僧院特集で)>
<右:ネパールやブータン、様々な国から通いにくる学生と、現在はドバイ在住というインド人観光客>
さて、ダージリンには世界遺産がある。
アジアで最も古い高山鉄道、133年走り続けるダージリン・ヒマラヤ鉄道(通称:トイトレイン)だ。もともとイギリス(大英帝国)植民地時代に、紅茶の輸送や避暑客の為にと建設されたもので、筆者はダージリン駅とグーム駅の1区間を走るトイトレインに乗り込んだ。途中、最高標高地点2,257mに位置するバタシアループで下車して、かつての戦争記念碑を見たり、春ならお花畑に囲まれての記念撮影をしたりすることができる。
<トイトレインと乗り込む筆者>
<グーム駅>
<バタシアループで停車するトイトレイン。戦争記念碑もある。>
また、ダージリンには、レッサーパンダやユキヒョウ、シベリアンタイガー、クマなどヒマラヤ地方の動物保護と研究を主な目的として設立されたヒマラヤ動物園、アルピニスト育成の為のヒマラヤ登山学校・博物館も存在する。
<ヒマラヤ動物園。レッサーパンダや柵のないクマエリアなど見所が沢山ある>
ヒマラヤ登山学校は、インドの初代首相・ネルーの指導の下に設立され、初代校長はエベレスト人類初登頂をエドモンド・ヒラリーとともに達成したテンジン・ノルゲイが務めた。アドベンチャーコース、アドバンスコース、ベーシックコースと分かれており、一般の人も受講出来るという。博物館内には、初の日本人登頂達成者・植村直己や日本人女性として初めて登頂達成した田部井洋子の展示品もあった。
<ヒマラヤ登山学校>
そのほか、現地の人に勧められたサムテンチョリン僧院、ダージリンの土地全体の18%を占めるといわれている茶園、そして紅茶工場等を訪れた。
次回以降の記事で少しずつ紹介していくが、一つ一つ目にするものが奥深く、美しい情景と涼やかな風、穏やかな空気に包まれていると、あっという間に時間が過ぎ行くばかりだった。
<ケーブルカー乗り場から見えた、綺麗な学校>
<繁華街と茶畑>
(成瀬久美/文と写真)