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野田聖子が安倍政権の慢心を叱る

「閣僚の失言や次元の低いヤジがあり、自民党は増長、慢心しているんじゃないかという心配を抱えている」

 

 自民党の野田聖子総務会長は、7日に行われた会合のあいさつでこう述べ、政権の現状に懸念を示した。

 

 また、集団的自衛権の行使を容認した閣議決定が、内閣支持率の急落を招いたことを念頭に野田氏は「石にかじりついてでも経済再生をはたすことが、もう一度信頼してもらえる唯一の手立てだ」とも述べ、安保外交政策に前のめりの安倍晋三首相を牽制している。

 

 確かに経済の先行きには今なお不透明感漂う。内閣府が同日に発表した5月の景気動向指数の速報値は消費税率引き上げで大幅に落ち込んだ4月と変わらず、「足ぶみを示している」との基調判断は据え置かれた。多くの国民は安倍政権が喧伝する経済成長に実感が伴わないでいるのだ。

 

 だからだろう。アベノミスクに確たる自信が持てない安倍首相は、経済成長の成果ではなく自らが得意とする安保外交政策で国民に信を問う、つまり解散総選挙に打って出るつまりなのだ。

 

 前回本欄で指摘したところだが、安倍首相が安全保障関連法案を次期通常国会で一括処理する意向を示したことで、少なくとも解散総選挙の時期は法案成立後、秋の自民党総裁選の前になる公算が強まった。

 

 できればそれまでに日朝、日露交渉、どちらかで目に見える成果が欲しい。だから安倍首相は安保外交に異常なほど情熱を傾けているわけだ。

 

 もっとも、安倍首相が描いたとおりに政局が動くかどうかはまた別問題である。

 

 内閣支持率が急落する中、9月の内閣改造、党役員人事で下手を打てば政権は求心力を失い、党内の反安倍の動きが表面化するはず。これに公明党が追随すれば、瞬く間に反安倍の包囲網ができあがる。ポスト安倍に意欲を見せる野田総務会長の言動が注目されているところだ。

 

(藤本順一)<t>

写真:野田聖子オフィシャルサイトより