南相馬の玄米に放射性物質が直接付着:その1「関係者の苦悩」
「2014年2月14日の南相馬市においての説明会においてのみ、すでにこの件は発表されていた。関係者に取材し、資料を手に入れたので、公表する。(記事の最後に添付)」
説明会は「南相馬市における玄米の全袋調査結果と基準値超過の発生要因調査」の内容について。南相馬市における実証栽培の全袋検査の結果、平成25年12月末までに10,349袋のうち100Bq/Kgを超えた玄米は27袋であり、これらはいずれも旧太田村で生産されたものということであった。
その他の旧市町村では、それまでのところ基準値超過は見られておらず、50Bq/kgがほとんど(99%)の状況。
小高区等の作付制限区域内で実施された試験栽培の結果、9ほ場のうち、5ほ場で100Bq/kgを超える値が見られた、とのことだった。
調査結果の概要の基準値超過の発生状況として「基準値超過は南相馬市の特定の地域(原町区旧太田村等)に限定されていることから、当該地域に特有の要素が影響しているものと推察される。」とある。
そして、7月14日からニュースとなっている、稲穂に放射性物質が直接付着しているものは資料の最終ページにある。
「5 その他、引き続き調査が必要な事項」から抜粋すると、「土壌からの吸収のほか、出穂後の稲穂への付着等、栽培期間中の稲体への放射性物質の直接付着が影響していた可能性が考えられるが、現段階ではその原因が不明である。なお、原子力規制庁にも相談したところ、地元のダストサンプラーの設置や原因究明についても協力するとのことであった。」
この資料について、関係者からレクチャーを受けたところ、放射性物質が付着している稲穂の部分は、位置からみると、8月に成長する部分であるということ、同じ地域で7月に収穫した小麦などには放射性物質の付着が見られないことなどから、8月に何らかの事象があり、放射性物質が付着したのではないかとのことであった。
・なぜ直接付着が見られたのか?
・山などに堆積している放射性物質が舞い上がったのか?
・汚染ガレキを搭載したトラックなどが近隣を走行した際に付着したのか?
・なぜ2012年度はなく、2013年度のお米に付着が見られたのか?
・8月に福島原子力発電所で近隣を汚染するような現象が何か起こったのか?
関係者によると、近隣の道路をどのような車が通行したのかも調査をしたという。また、除染をしていない山などから放射性物質が舞い上がって付着したのなら、その他の地域・時期も同じような現象がみられるはずであるが、無い。
天候・風向きなど、様々な調査を重ねた結果、やはり、福島第一原発から風に乗り飛んできた放射性物質が付着したのではないか、という結論になる。
農水省や福島県は、放射性物質が土や水から作物にどのように移行するか、どうすれば低減できるか、などの調査を本当に真摯に調査・研究しているが、環境からの移行ではなく、事故から2年たった2013年にも直接付着がみられるような状態、福島第一原発から放射性物質を放出している状態であれば、もう対応ができない、と怒りをあらわにしていた。
「汚染されるのは、玄米だけではない、作業しているのは人間なのだ。試験栽培だけではなく、このあたりは避難指示解除準備区域でもない。原因不明の直接付着が見られるような状態のところで、人間だけが被ばくをしない、と誰が言えるだろうか。」
「この2月の説明会の前に規制庁や東京電力にも問い合わせたり、実際に足を運んだが、あまり実のある対応をしてもらえない」
そう言って下記の資料を渡されたのが、今年の2月のことであった。
(その2に続く)
2014年2月14日の南相馬市の説明会資料(配布のみ、HP掲載無し)
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(おしどりマコ)<t>