PC遠隔操作事件でいまだ解明されていない「謎」
一連のパソコン(PC)遠隔操作事件は、無罪を主張していた片山祐輔被告(32)が犯人メールの自作自演がバレたことで一転、「私が真犯人です」と認めたことで一件落着のように見えるが、実は新たな「謎」も浮かんでいる。
その一つは、片山被告がどのようにして遠隔操作ウイルスを作成したかという点だ。検察側は片山被告は勤務先のPCを使って作ったと主張し、冒頭陳述でも〈被告人が犯行当時の勤務先で専用していたパソコンを解析したところ、同パソコンで犯行供用プログラムを開発作成したことを示す痕跡が多数発見された〉として、その根拠を列挙している。
ところが、犯行を認めた片山被告は接見した弁護人に対して、「自宅のPCで20日間程度で作った」と告白しているという。この矛盾はいったい何なのか?
そして、最大の「謎」はなんといっても片山被告の心の闇と動機である。
弁護団はこのほど、片山被告の精神鑑定を東京地裁に請求することを決めた。ただしこれは一般の刑事裁判のように被告人の責任能力を問い、罪を軽くしようという意図ではなく、あくまでも「犯罪が起きた原因を探る必要がある」(弁護団)というものだという。
確かに、自らを「サイコパス」(パーソナリティ障害)だと語る片山被告の“病理”を解明しない限り、全体像には迫れない。事件の真相究明はまだ始まったばかりなのだ。
(DAILY NOBORDER編集部】