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多核種除去設備で汚染水が漏洩し、試験運転を停止

午前1時22分に東電が一斉メールを送信。多核種除去設備から漏洩していた水の核種分析をした結果、全ベータ核種が1立方センチあたり6700ベクレル含まれていたことがわかりました。これは、多核種除去設備で処理する前の汚染水の全ベータ核種濃度と同程度なので、漏洩していたのは高濃度の放射性物質を含む濃縮塩水ということになります。


多核種除去設備は、昨年来、汚染されていない水を使った試験運転を実施していて、その時には大きな問題は報告されていませんでした。今年3月末に実際の汚染水を使った試験運転を開始してからは、誤操作などで停止したことはありましたが、高濃度汚染水の漏洩は確認されていません。今回は、試験運転開始後、初めての高濃度汚染水の漏洩ということになります。


多核種除去設備は、もともと昨年秋には運転を開始する予定でしたが、旧原子力安全・保安院、現在の原子力規制委員会のいずれからも信頼性に関する疑問を指摘され、その対処のために運転開始が大幅に遅れてきました。このため、本来は多核種除去設備で処理した後の汚染水(計画ではトリチウム以外の放射性物質はほとんど除去される予定)を貯蔵する予定だった地下貯水槽が使われないままに取り置かれることになりました。


処理できない高濃度汚染水が当初計画より多く発生したため、東電はこれを地下貯水槽に貯蔵していきました。一方で、地上タンクの建設計画は当初予定から変更しなかったことがわかっています。東電は今年1月から3月まで地上タンクを1基も増やさず、地下貯水槽への貯蔵量を増やすことで対応。その結果、4月に発生した地下貯水槽漏洩事故により汚染水貯留計画が破綻。急遽、タンクの増設が必要になりました。


今回の多核種除去設備の停止が長引くと、さらに貯蔵計画が遅れることになります。といっても、多核種除去設備で処理したあとの水も汚染水なので、汚染水の総量は変わりません。東電も、トリチウム以外は除去できるので漏洩時のリスク低減になると説明しています。


汚染水の増加原因は、原子炉建屋などに流入してくる地下水です。東電は流入量を、1日に約400トンと推測しています。流入量を減らすため、建屋に流れ込む前の地下水をくみ上げて、汚染される前に海に放出する「地下水バイパス」も計画されていますが、現在の増加量の4分の1程度減らすだけと見られています。実際には稼働しないとわかりませんが、増加を止めることは出来ません。増え続ける汚染水に対する抜本的な対策は、まだありません。


東電からのメールを転載します。同様のお知らせは、すでに東電のHPにアップされています。


http://www.tepco.co.jp/cc/press/2013/1228324_5117.html


(以下引用)


○先にお知らせいたしました多核種除去設備バッチ処理タンク2Aにおける水滴の
発見に関する続報について、お知らせいたします。


○当該タンク下に滴下水を受けるためのバケツを設置しておりましたが、昨日(6
月16日)から約16時間バケツで受けた滴下した結露水(370ml)の核種分析を行っ
た結果、以下の通りでした。


【バケツに受けた水の核種分析結果】
セシウム134 :1.9×10^0[Bq/cm3]
セシウム137 :3.9×10^0[Bq/cm3]
・全ベータ核種:6.7×10^3[Bq/cm3]


○また、多核種除去設備A系につきましては、昨日(6月16日)午後6時17分より
停止操作を開始いたしましたが、同日午後11時20分に停止いたしました。


以 上
(以下、お知らせ済み)
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○当該タンクの表面および床面について、スミアろ紙による表面汚染測定および線
量率測定を実施した結果、以下の通りでした。


【スミヤろ紙による表面汚染測定】
・バッチ処理タンク表面(変色していた溶接線近傍):7,900cpm
・バッチ処理タンク表面(変色していない溶接線近傍):700cpm
・タンク下の水受けパン(変色した水の滴下跡の部分):4,300cpm
・タンク下の水受けパン(変色していない部分):1,300cpm
(参考)バックグラウンド:180cpm


※cpm:1分間あたりの放射線のカウント数


【線量率測定】
・バッチ処理タンク表面(変色していた溶接線近傍):表面線量率
γ線:0.09mSv/h
β線γ線:0.18mSv/h
・バッチ処理タンク表面(変色していない溶接線近傍):表面線量率
γ線:0.08mSv/h
β線γ線:0.11mSv/h
・タンク下の水受けパン(変色した水の滴下跡の部分):表面線量率
γ線:0.04mSv/h
β線γ線:0.04mSv/h
・タンク下の水受けパン(変色していない部分):雰囲気線量率
γ線:0.05mSv/h
β線γ線:0.06mSv/h


○以上の結果より、当該タンク表面の溶接線近傍および水受けパンの変色していた
部分の値は、変色していない部分より高いことから、当該タンク内の濃縮塩水が
タンク溶接部から漏えいしている可能性が考えられるため、明日以降、詳細調査
を実施いたします。


○また、多核種除去設備A系につきましては、本日(6月16日)午後6時17分より
停止操作を開始いたしました。なお、停止操作完了までには約6時間程度要する
見込みです。


(以下、お知らせ済み)
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○昨日(6月15日)午後11時頃、現在試験運転中(水処理設備で処理した廃液を用
いた試験運転)の多核種除去設備A系のバッチ処理タンク(2A)において、当
社社員が結露状況を確認した際に、当該タンク下の漏えい水受けパン内に、変色
(茶色)した水の滴下跡があることを発見しました。


○水の滴下跡は、当該タンクの漏えい水受けパン内にあるため、当該設備より外部
への漏えいの可能性はありません。


○当該バッチ処理タンク(2A)表面には結露水が付いており、一部が変色してい
ることから、当該タンク下に滴下水を受けるためのバケツを設置すると共に、滴
下状況を監視しておりましたが、現在までのところ、当該タンク表面結露水は引
き続き生じておりますが、新たな変色した水の滴下は確認されておりません。


○念のため、多核種除去設備A系を停止し、変色した滴下水について、更に調査を
実施します。


○調査結果については、分かり次第お知らせします。


○モニタリングポスト指示値の有意な変動は確認されておりません。


○本メールには返信できませんのでご了承ください。


【ブログ「キノリュウイチのblog 」より】