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「原発周辺で鼻血」をいち早く取り上げていた自民党の国会議員

 週刊ビッグコミックスピリッツ連載の「美味しんぼ」(原作:雁屋哲)の「鼻血描写」を巡って安倍政権の閣僚らから批判の声が相次いでいたが、ついに安倍晋三首相までがこの問題に言及するという文字通りマンガのような事態になっている。


 首相の発言が飛び出したのは17日午後、視察に訪れた福島市内で記者団の質問に答え、「政府としては、根拠のない風評を払拭していくためにも、しっかりと正確な情報をわかりやすく提供していく。国として全力を挙げて対応していく必要がある」などと述べた。


 そうした中、安倍氏が総裁を務める自民党が原発事故直後の野党時代に、この鼻血問題を国会で取り上げ、民主党政権追及の材料に使っていたことがわかった。


 例えば、熊谷大参院議員は2012年3月14日の参院予算委員会、同22日の文教科学委員会で質問した。22日の議事録によると、宮城県南部のある小学校の保険だよりを手に、
「内科的症状では、頭痛、腹痛、鼻出血の順に多く、鼻出血というのはこれは鼻血のことですね。(中略)平野大臣、この事実をもう一度、どのようにお考えになりますか」
 などと発言し、14日の予算委員会でも、
「こういう結果が出ているのに、それでも本当に不安はないと言えるのですか?」
と追及している。


 あるいは同年4月25日の憲法審査会では、山谷えり子参院議員が「美味しんぼ」にも登場していた福島県双葉町の井戸川克隆町長(当時)の発言を取り上げ、こう発言している。


「井戸川町長が雑誌のインタビューでこんなことを言っています。『(中略)放射能のために学校も病院も職場も奪われて崩壊してしまった。私は脱毛しているし毎日鼻血が出ている。(中略)我々は被曝させられたのに、その対策もない検査もしてもらえない』、これは本当に重い発言だと思います」



 今回の「美味しんぼ」騒動で、現職の消費者担当相として「(漫画の描写は)放射能と鼻血との因果関係があるかのように誤解される記載だった」「影響力の大きさを考えると、福島県民と子供たちの根拠のない差別や偏見を助長するようなことについては大変、遺憾だ」などと批判の急先鋒に立つ森まさこ氏など、2年前の参院東日本大震災復興特別委員会(6月14日)でこんな質問をしているのだ。
「(将来的に子供たちが原発事故が原因で病気になった場合)被害者の方が、子供たちの方が、この病気は原発事故によるものだということを立証しなければならない。これはほとんど無理なのです。(中略)具体的には、こんな心配の声も聞いています。子供が鼻血を出した、これは被曝による影響じゃないかと心配で、診察してもらった、検査してもらった、そのお金はどうなるんですか?

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ということです」


 さらにダメ押しで書いておくと、2011年12月2日の同委員会でも、長谷川岳参院議員が、
「放射能の危険性というものはどういうものなのか、そのことについては専門家の間で必ずしも意見が一致しておらず、そのような中で個々人が判断をしなくてはいけないというところに今回本質があると思います(後略)」
と、極めてまっとうな指摘をしつつ、参考人として呼ばれた福島の住人から、自分の娘をはじめとして、周囲に鼻血の症状を訴える子供が「非常に多かった」という発言を引き出している。


 ザッと検索しただけでも、これだけ発見できた。少なくとも野党時代の自民党では複数の議員が原発周辺での「鼻血問題」に関心を寄せ、国会で追及し、議事録に残していたというわけだ。


【DAILY NOBORDER編集部】