中国インターネット事情 日本に対する世論の変化(NOBORDER編集部)
きょう(4月2日)日本財団は、中国人ブロガー4名を招いての懇談会を行った。
今回で10回を数えるこの会合は、日中の情報格差を埋めようという健全な取り組みの一環として行われた。笹川陽平日本財団会長も1ブロガーとして参加、NOBORDERからも2名が初参加した。
冒頭、中国人参加者のひとりから驚きの報告があった。
「なんと言っても、ブログがある前と後では、中国国内に日本を賛美する世論が生まれ、広がったのが大きな変化です」
こう語るのは元『鳳凰週刊』編集長の黄章晋氏だ。
「2003年を頂点として反日運動が激化、当時は『靖国神社に爆弾を持ってトラックで突っ込んでいく』というような過激な表現が多かった。しかし、2005年以降くらいからは著しい変化が芽生えた。日本の事情が知られるようになると、単純な反日や日本批判など煽動を目的とするものが少なくなって来た。また、私としてもそうした感情的なものは掲載しないようにしている」(黄氏)
日本ではSNSなどのメディアツールの登場によって、むしろ言論空間が殺伐としたものになっている。SNS
とくにTwitterからの有名人の脱退者は加速している。匿名の誹謗中傷が飛び交い、もはや健全な言論空間として使用するうまみがなくなったからだろう。
それではなぜ中国では楽観的な見通しが立っているのだろうか?
「中国は日本に感謝すべきだ」
こう書いた中国のメディアチームは、処分を受け、罰金を食らっている。
それでも変わったというのか?
「中国も自分たちの『靖国神社』を持つべきだ」(黄氏)
こう記した黄氏は最近の反日デモを取材している。
「私は現場で3時間取材した。私は500人のデモ参加者に直接聞いてみた。すると、参加者たちは周辺の農民などをバスで連れてきて、食事も手当も渡していることがわかったのです。さらにペットボトルを農民に渡し、彼らに半分飲ませ、残りを大使館に投げさせるということもやっていたのです。つまり、かつてのような反日行動とは根本的に違うのです」
そして、黄氏はこうまとめた。
「日本に対する恨みを表現する人の大多数は底辺にいるもの。いまはそんな感情を本気で持っている人は極少なくなっていると思う」