ノーボーダー・ニューズ/記事サムネイル

「見えないツナミ」と1671人の喪失感 原発事故(上杉 隆)

 案の定「見えないツナミ」が引かない。放射能がフクシマを襲って3年が経つ。他の被災地(北海道、岩手、宮城、茨城、千葉、東京)と違って大幅に復興が遅れているのはそのためか。

 福島県内では、東日本大震災と東京電力福島第一原発の事故による「震災関連死」は増え続けている。津波などで犠牲になった「直接死」を上回っている。

 認定された震災関連死は1671人を超え、直接死の死者1603人を上回ってしまった。ちなみに関連死でいえば、岩手県が約430人、宮城県が約870人であり、福島県が突出しているのがわかる。
 
 原因は、原発事故による生活環境の変化や避難生活へのストレス、また自殺や突然死なども挙げられる。厳しい現実は福島県に暗い影を投げかけている。海外報道も「フクシマの悲劇」を扱ったものが多い。

There are still 270,000 refugees, of whom 100,000 live in makeshift housing. Since the disaster, more than 3,000 refugees have died from medical problems and suicide. In Fukushima prefecture, more people have died of disaster-related causes after the disaster (more than 1,650) than were killed in the disaster (1,607).(2014年3月11日付『ニューヨークタイムズ』社説)

 政治と行政が「見えないツナミ」を直視できる日はいつだろうか?

PHOTO By デジタルグローブ (地震と津波被害 - 福島第一原子力発電所、日本), via Wikimedia Commons