次期内閣危機管理監に内定した西村泰彦前警視総監は機密漏洩の常習者だった(藤本 順一)
安倍内閣は退任が決まっている米村敏朗内閣危機管理監の後釜に西村泰彦前警視総監(58)を充てるそうだ。3月1日、正式就任となる。米村氏は退任後、発足したばかりの東京五輪組織委員会に入り、治安や交通対策などを陣頭指揮する見込みだ。
周知の通り、内閣危機管理監はこれも発足したばかりの日本版NSCの事務局長と並ぶ日本の安全保障体制の要となるポジションだ。歴代4人の警視総監経験者が就任しており、西村氏についても警察時代、主に警備畑を歩き、沖縄サミットやAPECなどの大規模な国際会議を成功させた実績があり、順当な人事だろう。
ただ、95年の警察庁の国松長官銃撃事件が起きた際には警視庁警備一課長として責任が問われたてもいる。記憶を辿れば、当時、公安モノを得意とする某実録小説の書き手を中心に集まったマスコミ関係者の宴席で国松長官狙撃犯とオウムとの関係を吹聴していたのを思い出す。
周知のとおり、安倍内閣は日本の安全保障体制を強化するため日本版NSCを創設し、併せて特定秘密保護法を成立させた。賛否はともかく、もし当時に逆上ってこの法律が適用されたならマスコミに公安、捜査情報を漏らしていた西村氏はあるいは摘発の対象になっていたかもしれない。
それはともかくこのところの安倍官邸の人事には綻びが目立つ。たとえば、安倍内閣が集団的自衛権の行使に道を拓くために内閣法制局に送り込んだ小松一郎長官(62)は、「検査入院」を理由に国会開会から一度も答弁に立っていない。病名は不明だが、昨年11月の臨時国会では「政府の憲法解釈の変更は可能」との見解を示したものの、如何せん外務省出身で憲法論には素人。歴代内閣法制局長官や最高裁判事経験者、憲法学者などから猛反発をくらいノイローゼ気味だとの噂も囁かれている。
あるいはもっとお粗末なのがNHKの会長人事だ。連日、国会やマスコミが取り上げていたから説明はいらないだろう。籾井勝人会長は従軍慰安婦問題などの一連の発言を謝罪、取り消し、原発番組への介入でも批判に晒されている。
三井物産副社長から日本ユニシス社長に転じた華麗なるキャリアだが、公共放送のトップに据えたのは間違いだった。聞けば、生まれも育ちも著者と同じ北九州・筑豊地方の炭鉱経営者の倅だそうだ。隣町には麻生太郎財務相もいるからお下品なしゃべりは土地柄のせいもあろう。ご容赦願いたい。余談だが、東京都知事選でお騒がせした舛添要一氏や家入一真氏も同郷だが、これも故郷自慢にはなるまい。
【ブログ「藤本順一が『政治を読み解く』」より】
※Photo : 国会議事堂 (Wikimedia Commons / Author: DS80s)