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安倍総理の竹島問題ICJ提訴で、またもや米国の失望を買うか!?(辺 真一)

安倍晋三首相は国会での答弁(1月30日)で竹島(韓国名:独島)の領有権問題に関して国際司法裁判所(ICJ)への単独提訴を検討し、「準備を進めている」と述べた。その時期については「種々の情勢を総合的に判断して適切に対応する」と具体的には言及しなかった。

単独であれ、韓国との共同であれ、ICJへの提訴の動きは何も今回が初めてではない。前の民主党の野田政権下でもあった。李明博前大統領が2012年8月10日に竹島に上陸したことに反発し、ICJでの決着を韓国政府に呼び掛け、この年の8月21日に共同提訴を求める外交書簡を送っていた。韓国政府に蹴られることを承知の上での措置だった。

案の定、韓国政府が日本の提案を拒否すると、一転単独提訴に切り替え、この年の10月にICJに単独提訴する方向で調整に入っていた。その時から1年4か月も経過しているので準備は整っているはずだ。要は、安倍総理がその気になれば、いつでも単独で提訴はできる。後は、安倍総理の決断のみだ。

仮に日本政府が訴訟を起こしたとしても、韓国政府が応じなければ裁判は開けない。ただし、提訴すれば、ICJは強制管轄権を行使し、韓国に対して裁判への出席を強制できる。それでも「日本との間には解決すべき紛争はない」との理由で韓国が拒みつづければ、裁判はいつまで経っても開けない。国際法上、提訴された側の韓国が同意しなければ、裁判は開けないことになっているからだ。

安倍総理の発言を韓国政府が「無意味なことである」と一蹴したのは、野田政権の時と同様に国際裁判所での決着を毛頭考えていないからだ。日本政府が実効支配している尖閣諸島をICJで解決する考えがないのとまったく同じ立場で、誰が大統領になっても「日本との間には領土問題は存在しない」とのスタンスが変わることはないだろう。

日本がダメ元で提訴するのはそれなりの狙いがあってのことだろう。

その狙いとは、ひとつに、国際社会に韓国との間に領土問題が存在することを印象付けることにある。

次に、ICJへの提訴は“国際紛争を解決する唯一平和的な手段であること”“日本政府は韓国と争っている領土問題を平和的に解決する努力をしていること”をアピールすることにある。

3つめに、日本が国際法の遵守を強調することで、韓国にICJの強制管轄権を受託するよう圧力を掛けることにある。

最後に、仮に竹島をめぐり紛争が起きたとしても、あるいは日本が実力行使に訴えたとしても、すべての責任は、ICJで黒白を付けようとしなかった韓国にあることを正当化することにある。

「竹島は歴史的にも国際法的にも日本の固有の領土」との立場に立つ日本が、韓国側の求める領有権主張の取り下げは100%あり得ない。となると、平和的に解決する方法としては日本からすれば現状では、韓国に実効支配されている竹島問題をICJで黒白を付ける他ない。しかし、単独提訴には幾つかのリスクが伴う。

ひとつは、安倍政権下での日韓修復、首脳会談は遠のくどころか、韓国側の一層の反発を招き、竹島の韓国の実効支配をさらに強めることになりかねないことだ。

次に、尖閣諸島への対応との矛盾、二重基準を国際社会から問題視される恐れがあることだ。

日本政府は尖閣諸島の問題では「中国との間に領土問題は存在しない」との立場からICJでの解決をまったく考えていない。その一方で竹島では「存在する」として一方的に提訴するのはダブルスタンダードとの批判を招きかねない。

さらに、尖閣諸島では国際社会に「現状の維持」を訴えながら、竹島では「現状の変更」を求めるのはこれまた矛盾しているとの批判を浴びかねない。「竹島」で騒げば騒ぐほど、その反動で「尖閣」がクローズアップされるというデメリットもある。

最後に、同盟国・米国の反発を呼び起こす恐れがあることだ。

ICJ提訴の動きが野田政権下で表面化した時、訪韓したジェイムズ・スタインバーグ国務副長官は竹島問題について「今、完全に解決する必要はない。当分の間そのままにして徐々に合意を模索するのもひとつの方法だ。ICJなど国際メカニズムを通じて問題を解決するのは正しい方法ではない」と反対していたからだ。「尖閣」も「竹島」も現状維持が望ましいというのが米国の立場である。

安倍総理がICJに提訴すれば、日韓の良好な関係こそが米国の戦略的国益とみなす米国を靖国参拝に続いてまたもや失望させることになり、オバマ政権もこれ以上、黙ってはいられないだろう。揺るぎない日米同盟関係を目指す安倍総理に果たしてそれができるだろうか。

結局のところ、安倍総理の提訴発言は、従軍慰安婦問題など歴史認識問題で対日批判を続ける朴槿恵大統領を牽制し、日韓首脳会談に応じさせる「外交カード」に使うことに本音があるようだ。

朴槿恵政権の対日関係改善の条件は、「2月22日の竹島の日を政府行事に格上げしない」「河野談話を撤回しない」「村山談話を踏襲する」「ICJに提訴しない」「二度と靖国に参拝しないこと」の5点に集約されるが、逆に言えば、日本は韓国を対話のテーブルに引っ張り出すカードを5枚も有していることになる。

この5枚のカードのうち、「河野談話」と「村山談話」は菅官房長官や岸田外相が再三にわたって「安倍政権も踏襲する」と言明し、すでに切っているので残りは3枚となるが、そのうちの一枚であるICJ提訴は、日本からすれば「伝家の宝刀」といえなくもない。

「抜くのか、抜かないのか」「抜けるのか、抜けないのか」。今まさに安部総理の本気度が試されようとしている。

photo:Wikimedia Commons

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