北朝鮮「張成沢一族」を処刑。無慈悲すぎる選択（辺 真一）
韓国の「聯合ニュース」は２６日、複数の消息筋の話として「張成沢前国防副委員長の家族や親戚の多くが、子どもも含めて処刑された」と報じた。
張成沢処刑（昨年１２月１２日）直前に、張氏の姉（張桂順）と夫の全英鎮キューバ大使、甥の張勇哲マレーシア大使らは相次いで本国に召還されていたが、いずれも処刑され、さらには張大使の２０代の息子二人（泰令と泰雄）と、亡くなった兄の子や孫を含めて「直系の親族は全員処刑された」とのことだ。
また、張大使の妻（朴春姫）ら張成沢氏の親族に嫁いだ女性は強制離婚させられ、実家の家族と一緒に山間部に追放されたという。
聯合通信は「金正恩第一書記が指示」と報道しているが、これが事実なら、残忍冷酷極まりない。
「亡くなった兄」とは、２００９年に７６歳で死亡した長兄の張成宇次帥と、２００６年に６８歳で死亡した次兄の張成吉中将を指しているが、軍人である二人とも生涯、金総書記に忠誠を尽くしていた。
張成沢氏よりも１１歳年上の長兄の張成宇次帥は、朝鮮戦争（１９５０－５３）の時は中隊長として従軍し、その後、人民武力部偵察局長、社会安全部政治部長、第３軍団長、軍護衛総局長などを歴任した生粋の軍人で、金正日総書記は、自分が乗っていた乗用車をプレゼントするほど厚い信頼を寄せていた。現に張成宇氏の葬儀で、金総書記は深い哀悼を表し、霊前に献花していた。
次兄の張成吉中将も第１３師団長、第二軍団副団長、第４軍団副団長、第８２０戦車軍団政治局員などを歴任するなど忠実な武人であった。
その子や孫らを処刑するとは。何と無慈悲な。
張成沢氏の義兄（姉の夫）である全英鎮キューバ大使は、外交部副部長からスウェーデン、アイスランド大使を歴任。娘が１９９７年に韓国に亡命した黄ジャンヨプ党書記の長男に嫁いでいたため召喚され、一時期、民間外交を担当する対外文化連絡委員会副委員長に左遷されていたものの、その後、キューバ大使として外交の表舞台に復帰。北朝鮮を代表する外交エリートであった。
甥である張勇哲大使（張成宇次帥の次男）は、２０１０年にネパール大使からマレーシア大使に転任し、昨年１０月にはマレーシアのヘルプ大学に掛け合い、金第一書記に「経済名誉博士号」を授与させた功労者でもある。
義兄の金正日総書記か、あるいは二人の兄が生きていたなら、張成沢氏らは処刑されてはいなかっただろう。
photo:Joseph Ferris
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