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松江介護詐欺続報 松江地裁の「怠慢」ぶり(今西憲之)

 今年の正月、3度にわたって連載した、島根県松江市の介護施設社長、田窪紘子被告の不当な逮捕と長期にわたる拘束。この記事を書いている、1月10日現在、今も拘束は続き、逮捕後、手術したガンの病状も芳しくない。

 松江地検は今も、家族の面会を認めていない。昨年12月27日、弁護団は紘子被告の家族との面会を求める、一部接見解除の申請をしたが、「松江地裁は、松江地検が年末で休暇に入っているので、意見が聞けないとして、判断を延期しました。どうも、検事が1月6日の回答にしてくれと言ったらしく、地裁もそれをよしとした。検察の顔色を見ながらしか判断できない、松江地裁にはあきれました」(紘子被告の弁護団)

 だが、松江地検の休暇は12月28日からスタートである。申し立ては27日に受理された。まだ休暇に入っていないので判断は可能だ。にもかかわらず、松江地検の「怠慢」ぶりを松江地裁の裁判官は認めたのである。

 三権分立。
 日本国憲法は、国会、内閣、裁判所はそれぞれ独立していると規定している。バランスを保ち、権力の濫用を防ぎ、国民の権利と自由を保障するもの。それは小学校の教科書で勉強する。

 だが、松江地裁はいくら弁護団が問い詰めても「松江地検が…」というばかり。憲法で定められる「独立」を放棄したのは明らかだ。

「ガンを患っている母を1日でも早く保釈してほしいのです。保釈が無理なら、直接面会して、病状を確かめたかった」と医師でもある、紘子被告の娘は心配そうに言う。

 その理由は、紘子被告が松江署の留置場で書き綴っていた「被疑者ノート」を見ればよくわかる。

 被疑者ノートは、逮捕、拘束された被疑者が取調状況などを日記形式で記録し、弁護士に説明することで、弁護活動に役立てるもの。2009年、厚労省の村木厚子さんが逮捕された時も、共犯者とされた元官僚が
<これで検察のパズルは完成>
<取り調べ中にトランプした>
 などと克明に描いていた被疑者ノートが、公判で明かされ、検察の捜査状況の様子を知るうえで役だった。

 2013年10月4日、再逮捕直後の被疑者ノート。松江地検の取調べに
<いまさらあんたはスタッフのせいにするのか。検事が顔を赤くして大きな声で私を怒りました。もはや、ウソをついても市役所から資料をもらっているのであなたは裁判しますよと言われる>
と検事から、脅されたと書き、
<検察庁はあなたがどう話そうとここに証拠がありますと言って、右手で指をさしすごく怒っていた>
<何度も知らないと言ったら(中略)あなたは反省もない>

 検事が言う「裁判をします」というのは、紘子被告を起訴し、公判請求するという意味であろう。逮捕イコール起訴と脅して、供述を強要しているのだ。

(続く)

【松江介護詐欺事件】
2012年秋、島根県松江市の介護事業会社、いずみの田窪紘子被告が逮捕、起訴された。松江市に介護事業の得られる生活支援給付金を不当に請求し、余分に得たという詐欺容疑。しかし、いずみは年商8000万円ほどあり、詐取した金額が約15000円と不自然なもの。紘子被告は、否認を続け争っている。ゆえに、ガンで緊急手術を余儀なくされたにもかかわらず、ずっと拘束されたままの状態が続いている。