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史上空前のバブル予算96兆円は夢見る安倍の“見せガネ”だ(藤本 順一)

政府は24日に閣議決定した14年度予算案の裏付けとなる新年度の経済成長見通しを実質成長率で1・4パーセント、物価の影響を反映した名目成長率を3・3パーセントとした。インフレ誘導による日本経済の規模拡大を唱える安倍政権はデフレ経済の象徴的な指標だった名実成長率の逆転が17年ぶりに解消し、税収が消費税増税と法人税収増で7年ぶりに50兆円を超えるとの見立てである。

しかしながら実質成長率が今年度見通しの2・6パーセントから半減するとなれば楽観は許されない。来年4月に消費税率を引き上げれば、景気の足を引っ張るのだから当然だ。政府は約5・5兆円の経済対策を盛り込んだ13年度補正予算でこれを下支えするが、こればかりはやってみなければ分からない。

厳しい見方をすれば、名目成長率が伸びても物価の上昇に賃金、給料の手取りが追いつかずに家計を圧迫、消費低迷で景気が落ち込めば税収不足を新規国債発行で穴埋めすることになりかねない。

「来年もやはり経済だ。強い経済を取り戻すことが政権の最優先課題であることは間違いない。今こそ、人材、設備に投資すべきだ。皆さんが賃上げの決断をできないわけがない」

安倍晋三首相は19日、企業経営者らを前にした講演でこう強く語りかけた。1年前にも同じ話を聞いた。

翌日には経済界、労働界の代表とでつくる「政労使会議」で「デフレ脱却に向けて、企業収益拡大を賃金上昇につなげる」との合意文書をまとめているが、実が伴わなければ安倍首相は厳しい立場に置かれよう。

その意味で、一般会計96兆円(前年度当初比約3兆2700億円増)の史上空前の規模にまで膨らんだ14年度予算案は、国民に景気回復を期待させるためのいわば“見せガネ”でもある。

安倍首相が今年の漢字に「夢」を選んだ際、「昨年と大きく空気が変わった。頑張っていけば来年はもっと良くなるのではないかという夢をみんなが見ることができるようになった」と1年を振り返った。空腹は満たされていない。

【ブログ「藤本順一が『政治を読み解く』」より】

Photo : Diet of Japan Kokkai (Wikimedia Commons /Author:Wiiii)