JAL再建で実はざっと2000億円もの血税が消えている(森 功)
公的資金を使ってJALを再建させた官民ファンドの地域経済活性化支援機構(旧企業再生支援機構)が、株式の再上場で得た株式売却益のうち、887億円を国庫に納付するそうです。機構の存続期限の2023年3月末の納付期限より前倒しして国庫に納めるだけですが、その程度では投じた税金の回収にはほど遠いといわざるをえません。
JAL問題については、会社更生法の適用後、あまりに優遇されたJALの再建策を問題視する声も根強くあります。その理由の一つが公的資金問題。
なぜかJALの公的資金投入は機構からの3500億円というのが定説になっています。で、株式の再上場により6600億円を回収できたので差引3000億円の儲けだ、とJAL側は胸を張っています。
しかし、実は投入された公的資金はそれだけではありません。政投銀などの政府系金融機関の借金棒引き1490億円をはじめ、政府系金融機関の債務保証や出資、税の損失などを加えると、公的資金は8545億円。このおかげでJALは再上場後、史上最高益を上げているのですが、6600億円回収しても、ざっと2000億円近くの税金が戻ってきていないことになります。それいて、JALは今も法人税を免除されている。900億円程度を回収してもまだまだ足りないというのが、実情なのです。
【ブログ「森功のブログ」より】
Photo : JAL Building/2006年撮影(Wikimedia Commons /Author: Itoshin87)