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特定秘密保護法案はまだ可決していない?(DNB編集部)

 テレビニュースや新聞の電子版などが5日午後、特定秘密保護法案が参院国家安全保障特別委員会で自民、公明両党による強行採決で可決したと盛んに伝えているが、同日夜中ごろから「本当はまだ可決していないのでは?」との疑惑が急浮上している。

 複数の関係者の話を総合すると、委員会では社民党の福島瑞穂議員の質問が終わり自民党議員の質問が始まった直後に元プロ野球選手の石井浩郎議員(自民党)が立ち上がって「議長、議長」(本当は議長でなく委員長)と質疑打ち切りの緊急動議をしようとした。ところが、そこで突然、マイクが切れ、理事や委員が委員長席に詰め寄ったという。

 以後、議場は罵声と怒号に包まれ、何が何だかわからなくなったところ、委員長席ににじり寄っていた元自衛官の佐藤正久議員(自民党)の手振り合図で自公議員が立ったり座ったりしていたという。

 傍聴していた市民の一人は、「とても採決したように見えなかった。後でニュースを見て可決したと知って驚いた」と話している。

 「未可決」疑惑が浮上したのは、このときの委員会議事録(未定稿)が出回り始めたからだった。ノーボーダーはそれを入手した。以下、問題部分を引用するとーーー。

○石井浩郎君……(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)

○委員長(中川雅治君)……(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)

(委員長退席)

午後四時八分

 要は、審議打ち切りの緊急動議も委員長による採決・可決の宣言もいっさい記録されていないということなのだ。確かにこれでは採決が行われたとは認定できない。

 野党側はさっそくこれを問題視し、6日午後からの参院本会議で「採決はなかった」と主張するとしている。果たして、どうなるか。