小泉元首相の真意「裏読み・筋読み」百花繚乱(DNB編集部)
小泉純一郎元首相(71)の日本記者クラブにおける「原発ゼロ」会見から3日経った。永田町では小泉発言の真意を訝る声とともに、さまざまな裏読み、筋読みが飛び交っている。14日付の夕刊フジの1面には、〈小泉 小沢共闘「原発ゼロ」で一致〉なんてドデカイ見出しまで踊っていた。
発言を素直に受け取ってもらえない小泉氏も小泉氏だが、永田町住人の妄想癖には驚くばかりだ。
小泉発言をめぐる主な「説」を拾ってみた。
【廃炉利権説】もともと原発メーカーなどからのカネでフィンランドの核廃棄物処分場を訪れたことが「原発ゼロ」宣言のきっかけになっていることが根拠。小泉氏が廃炉ビジネスの利権を狙っているというのだが……。
【シェールガス利権説】「廃炉利権説」の亜流。小泉氏の背後には「原発ゼロ」で需要が増すアメリカのシェールガスメーカーがいるとする説。しかし、小泉氏は代替エネルギーはガスではなく再生可能エネルギーと主張しているのだが……。
【水素自動車利権説】さらにその亜流。日産が次世代エコカーとして電気自動車を推進しているのに対してトヨタは水素自動車を推している。現在の小泉氏が活動拠点にしている国際公共研究センターは、そのトヨタ出身の奥田硯氏が会長でトヨタがスポンサーになっているというのが理由。妄想は膨らむばかりだが……。
【「原発ゼロ」新党結成説】これは当初から言われていた説。細川護煕元首相、渡辺喜美みんなの党代表、吉田忠智社民党党首らと相次いで会談。「原発ゼロ」をテーマに政界再編を目論んでいるというもの。いざ鎌倉となれば息子・進次郎氏も自民党を割って駆けつけるとも。本人は完全否定しているのだが……。
【自民党の反応に激怒説】小泉氏の発言に対して当初、自民党内から「無責任だ」「老害だ」「困った人だ」などと反発の声があがったことに対して本気で激怒しているとする説。まぁ、そりゃ怒るのも無理もないという気もするが……。
【安倍政権にエール説】逆に、ここで安倍晋三首相が「原発ゼロ」に舵を切れば国民から絶大な支持を得て長期安定政権ができると、“政治の師”としてサジェスチョンしているとする説。日本記者クラブでの会見で安倍首相の対中外交などを評価していたことも根拠としている。自民党が脱原発になれば、脱原発を唱える野党が埋没するという計算もあるというのだが……。
【スポットライト症候群説】これもよく言われる説。かつてスポットライトが当たっていたことが忘れられず、とにかく話題づくりをしようとしているというもの。そういう一面もあるのだろうが……。
それにしても、たった1回の記者会見でこれだけの波紋を呼んでしまうのだから、この人の情報発信力には改めて舌を巻くほかはないのである。
Photo by Fabio Rodrigues Pozzebom/ABr