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小泉氏から安倍首相へのメッセージ「政治は首相が決断するもの」(辺 真一)

安倍首相に原発ゼロの決断を促した小泉元首相の日本記者クラブでの発言が波紋を広げている。

小泉さんは会見で「首相が決断すれば、できる。反対論者も黙る」とまで言い切った。この発言を聞いて、小泉さんの訪朝を思い出さざるを得ない。

1度目の訪朝(2002年9月)の時も、2度目の訪朝(2004年5月)の時も、党内外に反対論があったがこれを押しのけて実行した。自分の手で「不正常な関係を正常な関係に、対立の関係を友好な関係にしなくてはならない」との信念に基づいていたからだ。「靖国参拝」にみられるように良くも悪くも内外の反発があっても自らの信念、信条を貫く政治家である。

小泉さんがレールを敷いた日朝関係正常化への道は、この10年間開かず、拉致問題は膠着状態のままだ。

「私の内閣で全面解決する」と誓った安倍政権下の今年は、5月の飯島訪朝、10月のモンゴル大統領の訪朝に期待が寄せられたが、何の動きもない。このままでは年越しとなりそうだ。

そういえば、小泉さんは福田政権下の2008年4月、自民党の山崎拓前副総裁から訪朝を促された際に「国交正常化の実現には首相が決着をつけるしかない。自分はもう行くつもりはなく、行くのは首相だ」と述べ、福田康夫首相に訪朝を促したことがあった。

拉致問題、日朝問題もまた、小泉元首相の言葉を借りるならば「首相の判断力と洞察力」に基づく決断にかかっていると言えよう。

 

by Roberto Barroso/ABr