山本議員の園遊会、手紙騒動のバカバカしさ(イッシン山口)
子供のころ「〒100 千代田区皇居 天皇陛下様」と書いて年賀状を出したことがある。あれはいったいどうなったんだろう。「あて所に尋ねあたりません」と返って来なかったので、どこかには着いたことは間違いない。陛下(当時は昭和天皇)のお手許に届いたのか? あるいは宮内庁職員の段階で処分されたのか? もちろん、返事は来なかった。
それはさておき、参院議員の山本太郎さんが園遊会で陛下に手紙を手渡したことが大きな騒ぎとなっている。福島の現状などを伝えたものだった。山本議員は「手紙を受け取っていただけますか」と尋ね、陛下は自然なかたちで受け取った(直後にお付きの人が奪って、自らの背広の内ポケットにしまっていた)。とくにお言葉はなかったという。
直近のニュースでは、下村博文文科相が「議員辞職ものだ。まさに政治利用そのものだ」と言い、古屋圭司国家公安委員長も「国会議員として常軌を逸した行為だ」と非難した。以下、報道から主な閣僚の発言を拾うと、「皇室へのマナーとして極めて違和感を覚える行為だ」(新藤義孝総務相)、「天皇陛下を国政に引きずり込むようなことにもなりかねない」(谷垣禎一法相)。そして、自民党の脇雅史参院幹事長は「自分で身を処しないなら、辞職勧告も考えるべきだ」とまで言い放った。
果たして、それほどのことかと思う。もっとハッキリ言えばバカかと思う。
陛下に手紙を渡しただけで、本気で「国政に引きずり込むことになる」と考えているのだろうか。もし、そんなことになりそうであれば、他の国会議員が団結して、そのようなことにならないようにすればいいだけのことだ。政治パフォーマンスと非難する声もあるが、このパフォーマンスをやって山本議員にどんな政治的メリットがあるのだろうか。むしろ、非常識な議員とレッテルを貼られるだけではないか。あるいは、陛下が山本議員の手紙に感化され反原発の闘士になるとでも思っているのか。そんなことはあり得ない。
要するに、何も起こらないのだ。もとより、天皇皇后両陛下は誰よりも福島の現状を知り、案じておられる。山本議員が手紙など渡さなくても。山本議員のやったことは、気持ちはわかるが、彼の自己満足以上でも以下でもない。
いずれにせよ、山本議員の出処進退については次の選挙で有権者が決めることだ。閣僚や議員がわーわー騒ぐ話ではない。頼むから、こういうバカバカしい非難の応酬はやめ、もっと意味のあることに時間とエネルギーを使って欲しい。