下村文科相の五輪担当兼務が不適格なこれだけの「理由」(藤本 順一)
安倍晋三首相は2020年東京五輪の開催に向けて五輪担当相を新設し、下村博文文科相に兼務させる方針を固めたそうだ。
[caption id="attachment_14743" align="alignleft" width="505"] Photo:Hakubun Shimomura(Wikimedia Commons/Author:多摩に暇人)[/caption]
スポーツ教育の視点から言えば、文科相の兼務に異論はないが、五輪担当相には選手強化策の他、社会基盤整備や観光客の受け入れ準備など大会運営に関わる政府サイドの総合調整を担うという。
たとえば観光客の移動手段や宿泊施設の確保、治安防犯対策では警察行政だけでなく国交省との連携が不可欠だ。そうであれば、行政経験の乏しい下村氏には荷が重いのではなかろうか。
また、東京五輪は「アスリートが主役」を掲げている。スポーツとはまったく無縁の下村氏に選手の気持ちをくみ取ることができるとも思えない。
もっといえば、東京五輪の成功には極東アジアの緊張緩和が不可欠だが、安倍側近の下村氏は自民党内では極右に位置づけられる対中強硬派だ。その言動が中韓両国の反発を招くことになれば、五輪の開催に支障をきたそう。
前回、本欄は中韓両国の五輪ボイコットの可能性を指摘した。あるいは中国が100万人規模の観光客を東京に送り込んでくれば、都市機能は麻痺する。日本は世界の笑いものだ。
むろん、五輪開催は7年後のことだから下村氏がその職にとどまっているはずもないが、平和の祭典には似つかわしくない政治家であれば、たとえ1日たりとも担当相に就けるべきではない。できればスポーツ界に精通し、なおかつ行政経験豊富で中韓両国との関係が良好なベテラン議員が適任かと。現職議員に人材が見当たらなければ、スポーツ議連元会長で長く五輪招致運動に汗を掻いてきた森喜郎元首相にお任せしてはどうだろうか。
折しも中国の反発を招いた尖閣諸島の国有化から11日でまる1年。前日には中国海警局の船8隻が尖閣周辺の日本領海内に侵入した。
許されざる暴挙だが、かといって実力行使にでるわけにもいかず、日本の打つ手も限られている。
局面打開のために日本政府が国有化した尖閣諸島を沖縄県に払い下げるなどして1年前の状態に戻すところから対中関係修復の道を探ってみるのも一つの選択肢だ。
【ブログ「藤本順一が『政治を読み解く』」より】
※Photo:Olympic flag(Wikimedia Commons/Author:Sam)