「自己保身」と「組織防衛」しか頭にない「連合」と「民主党」の哀れな末路 (藤本 順一)
全日本柔道連盟(全柔連)の上村春樹会長(62)が21日、度重なる不祥事の責任を問われて辞任する。
「改革改善に取り組んできたが、スピード感がなかったのが一番だと思う。私の判断が甘かった」
辞任を決めた15日の臨時理事会後の記者会見で上村氏はこう述べているが、遅きに失したのは自らの身の処し方だったのではないのか。
国民世論の批判の声に耳を塞ぎ、内向きの論理を振りかざして自己保身と組織防衛に走るその姿は、民主党とこれを支える日本労働組合総連合(連合)の姿に重なる。
7月30日、参院選で惨敗した民主党の海江田万里代表(64)は連合の古賀伸明会長(61)と会談した際、「民主党が熔けて流れてしまうわけにはいかない。歯を食いしばって一刻一刻を前に向かって進んでいく努力をしなければいけない」と述べ、代表続投への意欲を示した。
古賀氏は「目を覆いたくなるような党内の混乱に費やす時間はない。事態の深刻さを共有し、党の再生、自己改革に取り組んで欲しい。これからも緊密に連携する政党は民主党だ」と応じている。
本欄で前にも触れたが、民主党は昨年の衆院選と今回の参院選で議席を大幅に減らし、党内における連合組織内議員の比重は高まった。衆院145人のうち40人、参院33人の今や党内最大勢力である。その連合トップとの会談で海江田氏は続投支持のお墨付きをもらったわけだ。党内基盤の脆弱な海江田氏は何にも勝る援軍である。
もっとも、古賀氏の言葉を裏返せば、10月に任期切れを迎える自らの会長職続投への意欲を表したに他ならない。
そうなれば民主党議員は今後、公明党と創価学会との関係がそうであるように事実上、連合の傘下に置かれ、海江田氏を背後で操る古賀氏を仰ぎ見ることになろう。労組票にすがるしかない民主党の哀れな末路が目に浮かぶようだ。
【ブログ「藤本順一が『政治を読み解く』」より】
※Photo:Sohyo Kaikan (headquarters of the Japanese Trade Union Confederation)(Wikimedia Commons /Author : Lombroso)