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【速報】第11回検討委員会の甲状腺結果の資料訂正の経緯、県立医科大の説明(おしどりマコ)

8月21日の下記の記事についての続報である。
甲状腺検査の結果についての大幅な訂正。県立医大のカウントエラー!?(おしどりマコ)
http://op-ed.jp/archives/13697

本日8月22日、「公立大学法人 福島県立医科大学 放射線医学県民健康管理センター 広報部門」より、昨日の質問への回答、経緯の説明がメールで届いたので、ここに公開する。
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第11回福島県「県民健康管理調査」検討委員会資料の誤りについ

大変お待たせいたしました、表題の件について、
誤りの経緯及び原因について確認ができましたので下記にて回答いたします。

なお、本経緯の詳細については、県及び国民の皆様に対しても追ってご報告致します。

非常に重要な公開データに誤りがあり、各方面に多大なるご迷惑をお掛けしましたこと、
深く反省し、お詫び申し上げます。

《修正箇所》
①細胞診結果
平成23年度の平均年齢を「17.3±2.0歳」⇒「17.2±1.9歳」に修正
平成23年度の震災当時年齢を「震災当時11-17歳」⇒「震災当時11-18歳」
平成24年度の平均年齢を「16.1±2.6歳」⇒「16.1±2.8歳」に修正
②細胞診で悪性および悪性疑いであった28例の年齢、性分布⇒グラフを修正
《経緯》
8月20日に開催された第12回の検討委員会資料を、8月8日に県に提出後、
県より8月12日に数値等について誤りがあるのではないかとの指摘が医大にあった。
そのため、まず第12回分の内容を精査し、指摘通りの誤りがあることが判明した。
誤りについて検討委員会で差替えを行った。
その後、同じデータを含んでいる第11回の内容についても精査したところ誤りを発見し、
8/20の検討委員会終了後に訂正したものを公開した。

《原因について》
(1)平成23年度の平均年齢、震災当時年齢
資料作成にあたった者が、対象となる方々の生年月日のデータから算出したが、
1名について「二次検査時点の年齢」ならびに「震災当時年齢」の算出ミスがあったため。

(2)平成24年度の平均年齢
標準偏差の計算結果2.8を2.6とするタイプミスがあった。

(3)年齢・性分布グラフ
28例の年齢、性分布グラフを作成する際、「二次検査時点の年齢」から2年をマイナスしたものを
「震災当時年齢」としていた。
またグラフ化する際にデータ加工者のソートエラーにより年齢と性別が一致していないことが判明した。
「震災当時年齢」について正しい年齢に修正し、ソートエラーも修正した。
これにより年齢ごとの人数、年齢ごとの男女構成数が変わった。28例の元データに誤りはなく、性比に変更はない。

いずれもデータ加工処理過程における精査とその後のチェックの徹底がなされていないことに起因している。
第11回の検討委員会で初めて作成した資料であったこと、当該データに触れることができる者が限定されており、
多くの者によるチェックを経ることができなかったことが要因と考えている。

《今後の対策》
今後は、データ集計者及び関係者に対し、何よりもデータ精査の重要性の認識を徹底していくとともに、
日常的にデータ作成時のダブルチェック体制を確立していく。
さらに、検討委員会資料作成時には、データ、資料のチェック体制を新たに構築する。
従来は、甲状腺検査部門は業務が多岐にわたることから、これまで個別に担当する業務ごとに資料作成に当たり、
チェックをしてきたが、提出資料作成時にはそれを統括してチェック、確認をするため、
業務内容と責任体制を明確にしたチームを構成し、思い込みやうっかりによるミスの低減を図っていく。

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データ加工処理過程における精査とその後のチェックの徹底がなされていないことに起因
第11回の検討委員会で初めて作成した資料であったこと、
当該データに触れることができる者が限定されており、
多くの者によるチェックを経ることができなかったことが要因と考えている。

このあたりに多くの問題が含まれているのではないだろうか。

現在、福島県の県民健康管理調査は、福島県立医科大が主体となって行っている。

原発事故後の住民の健康調査の 情報の取り扱い、どこまで情報を公表するか否か、
そのあたりの判断を、県立医科大のセンター内の専門委員会の中の数人の議論でしかなされていない、というのは問題ではないか、と以前から指摘されている。

下記は第10回検討委員会のときの筆者の記事である。 

【情報】放射線医学県民健康管理センター内の専門委員会(おしどりマコ)
http://op-ed.jp/archives/6665
 

男女比については、第11回の検討委員会から加わった清水委員が、第11回、第12回とたびたび指摘している点でもある。
(被曝による甲状腺がんは、チェルノブイリのときは男子の増加が見られたが、福島の調査でも、途中段階ではあるが、男子の増加がみられないか、という指摘)

第11回県民健康管理調査の小児甲状腺ガンの男女比について(おしどりマコ)
http://op-ed.jp/archives/9188

今回の訂正では、第11回のグラフにおいて、訂正後と訂正前とで男女比の変化は無かった。
しかし、訂正前の第11回の分布と第12回の分布と比較すると、男子の減少が多かったため、女子の増加に見せるための、何らかの操作が加えられたのではないか、と疑わせるような事例ではある。

そして、筆者は医療従事者の論文制作の補助をした経験があるため、カルテ用のエクセルに触れた経験がある。

28例の年齢、性分布グラフを作成する際、「二次検査時点の年齢」から2年をマイナスしたものを「震災当時年齢」としていた。

とあるが、筆者の経験から言えば、このような乱暴なことはしない。
きちんと、カルテ用のエクセルに生年月日を記入する欄があり、そして、様々な日付で(検査日、震災等事象発生日、等々)年齢がいくつであるか、すぐに出せるし、そうして管理していた。

経緯の説明はなされたが、甲状腺検査の体制、結果の公表の仕方に、まだまだ疑問は残る。

【NBオリジナル】

[caption id="attachment_13730" align="aligncenter" width="620"] 第12回検討委員会終了後の記者会見の模様。質問をする筆者。(撮影、おしどりケン)[/caption]

【NBオリジナル】