甲状腺検査の結果についての大幅な訂正。県立医大のカウントエラー!?(おしどりマコ)
2013年8月20日第12回県民健康管理調査検討委員会が、福島県福島市で行われた。
出席し、取材した筆者は、過去の資料を見比べ、記事をまとめようとしたが、ある疑問がわき、現在それを追求している。その途中経過を先にまとめる。
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その疑問というのは、甲状腺検査結果の「悪性ないし悪性疑い」の性別・年齢別の分布のグラフである。
第12回の配布資料はこちらである。
http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/250820siryou2.pdfの
2-6にも同じものがある。
この資料と第11回の甲状腺検査結果の「悪性ないし悪性疑い」の性別・年齢別の分布のグラフを見比べると、整合性がとれないのである。
2011.3.11時点での年齢でのグラフを見比べて頂きたい。
同時点での年齢での評価になっているので、人数が増えることがあっても、減ることは無いはずである。しかし、減少している分布があるのだ。
※11歳
11回:男子3、女子0
12回:男子0、女子1
→男子3名減少
※15歳
11回:男子3、女子0
12回:男子2、女子3
→男子1名減少
※17歳
11回:男子2、女子4
12回:男子3、女子3
→女子1名減少
※18歳
11回:男子2、女子0
12回:男子0、女子7
→男子2名減少
なぜこのようなことが起こったのか?
筆者が悩んでいるうちに、福島県の県民健康管理調査検討委員会のHPにこのような記載が現れた。
http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=24809
○資料2 「甲状腺検査」について、11ページ(5)結果概要に一部誤りがあったため、修正いたしました。(平成25年8月20日)
《修正箇所》
・細胞診結果
・細胞診で悪性および悪性疑いであった28例の年齢、性分布
そして、資料はこのように訂正された。
http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/250605siryou2.pdf
しかし、21日15時現在、個別の資料ではなく、一括の資料では、訂正前のままである。
http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/250625siryouikkatu.pdf
2-11
ちなみに、筆者は第11回の検討委員会も出席、取材したが、もちろん配布資料は訂正前のものである。
男子14名、女子14名の人数に変更は無いのだが、分布が大幅に変更したのである。
なぜ、このようなことが起こったのか。
8月20日の18時までおよんだ委員会、記者会見ではこのような発表はなされなかった。
しかし、20日当日の記者会見で、筆者は気になるところがあった。
委員会の冒頭、司会のこのような連絡があったからだ。
「委員のみなさま、資料をご確認ください。資料、2-5は差し替えになっております。」
急いで筆者は2-5を見た。
こちらである。
これは、甲状腺検査結果をとりまとめた、非常に重要な資料である。筆者はすぐに広報の事務方のところに走り、確認した。
――報道、傍聴への配布資料は差し替えは無いのか?
「無い。差し替えたものを当日配布している。」
――では委員へは事前に配布していたのか。」
「そのようである。」
そして、委員会の議論が終わった後の記者会見のときに、筆者は質問のひとつにこの件を盛り込んだ。
――委員への事前配布の資料で差し替えがあった部分は、どのような訂正があったのか。
「甲状腺検査結果の悪性ないし悪性疑いの部分で、平均年齢や標準偏差にミスがあった。事前配布した委員の資料は差し替え、当日配布した資料は、訂正後のものである。」
筆者は、このときに、単純な計算ミスの訂正かと感じた。しかし、この件が、その後関わってくるのである。
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筆者は福島県庁の保健福祉部県民健康管理課に問い合わせた。
――この11回の資料の、甲状腺結果についての訂正があったのは、20日の何時か。
「検討委員会後の第11回の資料の誤りに気づき、訂正資料をアップしたのは、20日の20時頃である。」
――なぜ、このような資料の訂正があったのか。
「第12回の検討委員会前日に、甲状腺検査の悪性ないし悪性疑いの平均年齢、標準偏差の間違いに気づいた。事前に資料を配布していた委員から、間違いの指摘があったからだ。そして、当日20日朝に訂正した資料ができ、それを配布し、委員には差し替えた。
その後、過去のもの、第11回の平均年齢、標準偏差も訂正が必要では、と見直したところ、第11回の資料の訂正もわかった。」
――いや、これは平均年齢、標準偏差の訂正ではなく、元々のデータの大幅な変更だが…
「おっしゃるとおりである。これは元々のデータの取り扱いが正しくない、という誤りがあった。」
――この甲状腺検査結果の悪性ないし悪性疑いというのは、最も我々が懸念している結果でもある。そのように、元々のデータの取り扱いが正しくない、というような実態があるのか。
「県のほうではこれ以上わからない。医大のほうで、カウントのエラーがあった、ということである。」
――医大について、これからどのようにアプローチするのか、原因究明をするのか。
「これは重大な事象だと思う。間違った資料が、気づかず2ヶ月以上提出されていた。次の回まで間違いに気づかない、などあってはならない。
県として、医大に今後、このようなことが無いよう改善を求めていく。」
――医大に、なぜこのようなカウントエラーが起こったのか、原因は調査しないのか。
「まぁ…、それも含めて…検討する。」
筆者としては、県が原因究明にあまり積極的でないことに懸念を抱きつつ、県立医科大の甲状腺検査の専門委員会の教授2名に電話をした。
しかし、出張中でつながらず、放射線医学県民健康管理センターに問い合わせた。県立医大の中で、県民健康管理調査を請け負っているセンターである。
窓口で、第11回の資料のカウントエラーについて問い合わせると、受付の女性は
「あ、あの棒グラフの件ですよね、分布の。」
とすぐに答えられた。センターのほうでも、この件は十分把握しているようであった。
筆者が、なぜこのようなカウントエラーが起こったのか、経緯を知りたい、と言うと、担当の者から折り返し電話をかける、と言われたまま、数時間が経過した。
なので、現在この回答待ちの状態であるが、とりいそぎ、この経過を報告する。
かなりの大幅な訂正があったので、どのような経緯でカウントエラーがあったのか、追っていきたい。
明確な説明が得られなければ、帳尻を合わせているのではないか、と捉えられても仕方がないのではないだろうか。
(文、おしどりマコ、撮影、おしどりケン)
【NBオリジナル】