「自由シリア軍ゲリラ部隊同行記(1)」(岩重 光義/写真・文)
シリアの内戦は、アサド独裁政権の退陣を求め、民主化を訴える一般市民のデモがきっかけだった。
政府軍はこのデモを鎮圧すべく、市民に向かって発砲。しかし、市民を殺すことを拒んだ一部の兵士たちは政府軍を離反し、市民とともに「自由シリア軍」と名乗り戦いを始めた。
現在は、世界中からイスラム教原理主義者達たちがシリアに集まり、政府軍に対抗している。
彼らは自爆攻撃など命を顧みない攻撃をしているが、本来の目的はシリアにイスラム法に基づく国家を作ることだ。
一方、アサド大統領はイスラム教シーア派に属するアラウィー派で、同じイランのシーア派のイスラム革命防衛隊や、レバノンのシーア派のイスラム主義組織ヒズボッラーなどが、シリア政府軍側に兵士送り出している。
またロシアからも武器の輸入は続いていており、国連の安保理決議では、ロシアと中国の否決により介入が不可能となった。
この内戦での死者はすでに10万人を超え、難民は175万人にも達すると言われている。
長丁場の戦争に直面するシリア人たちは、廃墟となった故郷を捨て、家族総出で国外へと逃げる者。劣悪な環境の難民キャンプで仕方なく暮らす者。家族や友達を殺された復習を果たすため故郷に留まって戦う者。戦いに疲れ国外に休養や就職のため逃れる者。単にお金がなく留まる者とそれぞれである。
2011年1月の衝突から2年半以上が経つが、シリア内戦の収束のめどはまったく経っていない。
私はトルコ側から国境を超え、自由シリア軍のゲリラ部隊と行動を共にし、撮影を行なった。
[caption id="attachment_13643" align="alignnone" width="620"] トルコからシリア国境を超え、人や物資を運搬するトラックの中[/caption]
[caption id="attachment_13644" align="alignnone" width="620"] 団体生活のルールを決めるためミーティングをする自由シリア軍のメンバーたち[/caption]
[caption id="attachment_13645" align="alignnone" width="620"] プールで遊ぶ兵士たち。内戦中とはいえ待機の日々も多い。ひとときの休息[/caption]
[caption id="attachment_13646" align="alignnone" width="620"] 大隊のリーダーである離反兵将校が、集会を行ない周辺の小グループに説明をする[/caption]
[caption id="attachment_13647" align="alignnone" width="620"] 集会に集まった兵士たち[/caption]
[caption id="attachment_13648" align="alignnone" width="620"] 腕にハートのタトゥーを入れている兵士もいる[/caption]
(c)Mitsuyoshi Iwashige