ノーボーダー・ニューズ/記事サムネイル

民主党が代表選を回避すれば、野党は今秋、再編モードに突入する(藤本 順一)

臨時国会は7日、参院本会議で常任委員長を選出、衆院は閉会中審査の手続きを行い閉幕した。民主、みんな、共産など野党6党は麻生太郎副総理兼財務相のナチス発言を「釈明の余地のない暴言。国際社会でわが国の信頼を大きく傷つけた」として衆院予算委員会での集中審議か閉会中審議を求めていたが、衆参両院で絶対安定多数を握る自民、公明両党に拒否されては打つ手はない。ねじれ解消の現実を思い知らされたことだろう。

とはいえ政府与党内もけっして一枚岩ではない。秋以降、安倍晋三首相は消費税率の引き上げやTPP交渉、集団的自衛権の憲法解釈など与党内を二分する政治課題で難しい舵取りを迫られる。野党にとってはここが一つの攻め処だ。

むろん、野党の足並みが乱れていては話にならないが、まずもって民主党には野党第一党としての自覚と責任を強く求めたい。

折しもこの日、民主党香川県連の山本悟史香川県議ら党所属の地方議員有志が党本部に大畠章宏幹事長を訪ね「民主党は国民の負託に値する信頼を得られていない。前に進むには代表選が必要だ」とする地方議員124人が署名した要請文を提出している。おそらく、民主党支持者の多くが同じ思いだろう。

これに対して大畠幹事長は「党内には代表選をやるべきではないという意見もある。最善の方法を考えている」と述べたそうだ。

いったい何を考えているのか。あるいは代表選を実施することで党内にしこりが残ると考えているとすれば、あまりに内向き過ぎよう。

何より、選挙は民主政治の根幹を為す。民主党は代表選を通じて党内外の意見に耳を傾け党再生の第一歩としなければならない。

「国会議員は危機感が足りない。地域の声を訴えないといけない。代表選が実施されるまで、賛同者を募って行きたい」

議員有志の一人、山本県議は記者団を前にこう言う。それでも代表選を見送るようなら早々、民主党に見切りをつけることだ。タイムリミットは10月の臨時国会開会まで。これを過ぎれば、野党再編の動きが加速されることになろう。

【ブログ「藤本順一が『政治を読み解く』」より】

※トップページフォト:Headquarters of the Democratic Party of Japan (Wikimedia Commons /Author:Lombrosoより)