自民党は知っていた!? ネット選挙の必勝法(森 功)
共同通信の出口調査によれば、今度の参院選挙でネットを参考にしたと答えた有権者は、全体の一〇・二%に過ぎない。実に八六・一%が参考にしなかったと回答している。
政党や候補者がインターネットのツールを通じて有権者に自らの政治姿勢や政策を訴える――。地方、国政を問わず初めて導入されたネット選挙は、いま一つ機能しなかったかのような報道が目立つ。予想通り、共同の出口調査で候補者のブログやツイッタ―を「参考にした」と最も多く答えたのは二十代で、二三・九%。年齢を重ねるごとにネットの参考度合いが減り、六十代にいたっては九割が「参考にしなかった」と回答している。
ネット選挙は緒に就いたばかり、まだまだ有権者に浸透していないという指摘は的外れではないだろう。だが半面、まったく効果がなかったか、といえばそれも違う。たとえば注目の一つである東京選挙区だ。
山本太郎や吉良佳子のネット効果は知られたところですが、自民党もネットをうまく使ったといえるでしょう。
「効果の一つは一万人の会員を擁するボランティアの自民党ネットサポーターズクラブ、もう一つがニコニコ動画中継です。サポーターズクラブには安倍さんの憲法改正をバックアップするネット右翼発言が多く、ニコ動は麻生(太郎)副総理が精通している。もともとニコ動のシステム開発に麻生さんの親族がかかわっていた経緯もあり、それだけにニコ動のメリットをよく知っているのです」(同関係者)
言うまでもなくニコニコ動画はインターネットの動画中継サイトだが、今度の参院選では各党が積極的に活用してきた。なかでも、「ニコニコ動画の世界では、意外に、私と麻生太郎副総理は人気があるんです」と「若者・女性活躍推進フォーラム」で安倍が自ら語るほど、安倍、麻生コンビは力を入れている。麻生太郎は首相時代、趣味のマンガ本収拾をウリに秋葉原で絶大な人気を誇り、大衆性をアピールした。元はといえば、それもネットを利用した仕掛けがあったともいわれる。
これ以上にパフォーマンス政治が横行しなければいいのですが……。
【ブログ「森功のブログ」&「中央公論/森功の社会事件簿より】
※Photo:Facebook social network's page(Wikimedia Commons/author :Alexey Malgavko より)