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圧勝自民党参院で早くも派閥ボスたちの暗闘が始まった! (藤本 順一)

「日本政治を長く迷走させてきたねじれに終止符を打つことができた。問われているのは自民党自身だ。一致結束して結果を出していきたい」

安倍晋三首相は22日、自民党本部で行われた臨時党役員会議でこう述べた。

まさにその通り。ねじれの解消が国民有権者の多くが求める政治の安定とスピードアップにつながるかどうかは、これからの自民党の振る舞いにかかっている。

まずは26日に告示となった自民党参院の議員会長選挙がその試金石となろう。

水面下では数に物を言わせた町村、額賀、岸田の参院主流3派が安倍首相に対して溝手顕正幹事長(68)の無投票での昇格を求めている。それぞれの派閥の事実上のオーナーである森喜郎元首相、青木幹雄元参院会長、野中広務元幹事長、古賀誠元幹事長らの強い意向によるものだ。

この4人は政官業の癒着が批判されたかつての自民党を象徴する存在だ。既得権益にメスを入れる小泉構造改革に立ちはだかり守旧派抵抗勢力と呼ばれたのは記憶に新しい。

ましてやその彼らが推す溝手氏は確か昨年秋、消費増税法案の成立と引き換えにした「話し合い解散」を主張する安倍首相を「もう過去の人。今、一生懸命リハビリ中で、主導権を取ろうとああいう発言になったんだろう」と小馬鹿にしていたご仁である。

さらに遡れば、3年前の会長選挙で安倍首相は麻生財務相と共に主流3派が推す谷川秀善氏に対抗して現会長の中曽根弘文氏を担ぎ出している。この時は得票が同数となりくじ引きでかろうじて勝利したものの、その後の人事で巻き返されて溝手氏の幹事長就任を飲まされてしまった。安倍首相にとっては因縁浅からぬ相手だ。

加えて今回、主流3派の要求に屈服して溝手氏の会長就任を許してしまえば、安倍首相は参院自民党に政権運営の主導権を奪われかねない。

かといって敵対すればねじれ国会同様、参院の審議に支障をきたす怖れがある。TPPや規制改革など業界団体が嫌がる政策を推し進めるのであればなおさらだ。

圧勝したとはいえ、安倍首相にとっては悩ましくもある参院自民党の会長選挙となる。

【ブログ「藤本順一が『政治を読み解く』」より】

※トップページフォト:Shinzo Abe(Wikimedia Commons /Author:Ogiyoshisanより)

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